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ファイティングイーグルス名古屋・佐土原遼が追い求める「2つの高み」(後編)

今シーズン、広島ドラゴンフライズからファイティングイーグルス名古屋へ加入した佐土原遼選手。子どもの頃から人一倍練習を積み重ねてきた“元ビッグマン”には、つの目標があると話します。

 

前編】無限の向上心の「源」と「向かう先」(ファイティングイーグルス名古屋・佐土原遼インタビュー)

Contents

 

海外挑戦も視野。「自分の武器を尖らせたい」

 

──プレーの幅を広げること以外に、ファイティングイーグルス名古屋(以下、FE名古屋)に移籍を決断した理由はありますか。

佐土原遼選手(以下、佐土原):僕には将来的に海外でプレーしたいという目標があります。海外志望であることにFE名古屋は理解を示してくれましたし、カルバン・オールダムアシスタントコーチはさまざまな国のバスケットを熟知しているので、学べることが多いと考えました。

選手を見ても、アーロン・ヘンリーはNBAでのプレー経験がありますし、JJ(ジェレミー・ジョーンズ)もヨーロッパのチームにいました。帰化選手の(エヴァンス)ルークはベテラン選手でいろいろな知識を持っている。海外に行くというキャリアプランのために必要なものを得られると思いました。

海外でプレーをする場合、日本人は”助っ人“として扱われます。全てのスキルが平均以上で、なおかつ何か尖ったものがなければオファーはもらえない。僕は外国人と競えるフィジカルはあるので、その武器を尖らせながら、ドライブや3Pシュートを高確率で決められるように、カルバンACと話をしながら取り組んでいます。

 

 

──海外挑戦を視野に入れているとはじめて知りました。

佐土原:八村塁さん、渡邊雄太さんのようにNBAで、とは思っていないのですが、海外ならどこでもいいというわけではない。ヨーロッパやオーストラリアのある程度レベルの高いリーグを目指しています。オーストラリアでも部ではなく、部の中位以上のチームで活躍できる選手になることが目標です。

もう一つの目標である日本代表とどちらが先になるかはわかりませんが、ヨーロッパやオーストラリアで戦える実力があれば、日本人の中では頭ひとつ抜け出せる。だからまずは海外でプレーできる力をつけたいと考えています。

 

3×3で得たフィジカルへの自信とリーダーシップ

 

──佐土原選手は3×3の日本代表として「FIBA 3×3ワールドカップ2023」などに出場した経験をお持ちです。海外挑戦や5人制の日本代表を見据える上で、3×3の日本代表としての経験は大きかったのではないですか。

佐土原:おっしゃる通り、本当に大きな経験でした。僕は海外の選手と対戦する機会がないままプロになりました。小中高時代は代表に選ばれるようなレベルでは全くなかったですし、大学時代はコロナの影響もあって韓国に遠征する機会がなくなってしまったので。

でもBリーグでアジア枠や外国籍選手とマッチアップするうちに、「意外と戦えるぞ」という手応えを感じていました。さすがにセンターポジションの選手とはフィジカルの差がありますけど、いわゆるストレッチ系のビッグマンであれば守れるフィジカルはあるなと。

3×3で、他の選手が海外選手にフィジカルで押し切られてしまっているところでも、自分は日本人選手を相手にしている時と変わらない感覚でプレーできました。Bリーグで感じていた手応えが確信に変わって自信がついたので、3×3に挑戦して良かったと感じています。

3×3の国際大会に出るのは初めてだったので最初は少しルールの違いに違和感がありました。でも高校までお世話になっていたクラブチームで3対をする機会もあったので、比較的早く順応することができました。招集された当時は広島でプレータイムを多く得られているわけではなかったので、自分の力を伸ばすためにも参加してみようと考えたのですが、大会に出てみたら意外と活躍できて楽しかったですし、人制に活かせることも多くあるなと感じました。

―3×3からはどんなものを持ち帰ってきましたか?

佐土原:3×3の大会はヘッドコーチがコート内に入れないというルールがあるので、選手だけで話し合いながら戦わなければなりません。その中で大事だったのが、誰か人がリーダーシップを発揮して引っ張るのではなく、選手全員がコート内で話し合いながら乗り越えていくこと。人制に戻ってきてからも、試合中にタイムアウトが取れない時もありますので、ボールが出た時などにパッとチームメイトを集めて、「ここを変えよう」などと話をして対応できるようになりました。

──コーチの視点を持つことで、自分のプレーを俯瞰的に捉えることもできそうですね。

佐土原:うーん、どうだろう? 3×3は半面のコートに人しかいないので、スペースがある分、自分や周りの位置関係を俯瞰して捉えやすくはなりますね。人制でもできる人はいると思うのですが、僕はまだまだ自分のプレーだけで一杯一杯になっている時もあって、周りがどう動いているのかを客観的に見ることは難しい。俯瞰的に見ようと頑張ってはいるのですが……。

ディフェンスに関しては、最近周りを見ながらどこにくるかを予測をしながら動けるになってきていています。色々な面で、3×3の経験は自分の成長につながりました。

 

佐土原の髪型が変化した理由

 

 

──次に目指すのは、5人制の日本代表ですね。

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