坂本聖芽 、アグレッシブなディフェンスとファストブレイクでドルフィンズらしさを取り戻す起爆剤に 【2024-25シーズン 第1節】
ファイティングイーグルス名古屋(以下、FE名古屋)と名古屋ダイヤモンドドルフィンズ(以下、名古屋D)の“名古屋ダービー”Game2は、62-83で名古屋Dが勝利した。
ショーン・デニスHCは「一番勝ちにつながったのはディフェンス。昨日はチームディフェンスとリバウンドが課題だったのですが、それを乗り越え、今日は最初からうちらしいディフェンスができた。相手にプレッシャーを与えて、慌ててシュートを打たせることができました」と選手を称えた。
若きPGが激しいディフェンスで相手のエースを封じ、オフェンスをテンポアップ
立ち上がりは両チームともに3Pシュートが高確率に決まり、激しい主導権争いを繰り広げた。一進一退の展開の中、試合の流れを傾けたのは名古屋Dの若きPG・坂本聖芽だった。
坂本は第1Qの開始4分に12-12の同点でコートに入ると、FE名古屋のオフェンスの起点であるPG並里成に張り付くようなディフェンスを仕掛けた。
「FE名古屋さんはPGからプレーが始まるので、簡単にボールを持たせないように、プレッシャーをかけてなるべく時間を使わせるように意識しました」(坂本)
さらに開始5分に勝ち越しの3Pシュートを射抜くと、その直後には並里からボールを奪い、そこからファストブレイクを繰り出してザイラン・チータムのボースハンドダンクをアシスト。アリーナの空気を変えた。FE名古屋はたまらずタイムアウトを取るも、坂本は激しいディフェンスで並里にタフショットを打たせてディフェンスリバウンドを回収すると、一気に駆け上がってチータムの豪快なアリウープをお膳立て。ドルフィンズらしさを加速させた。
ショーン・デニスHCは「(坂本)セイガとザイランがディフェンスのトーンをセットしてくれた。セイガがあのようなインパクトをチームに与え、チームのエナジーを上げてくれたのは本当にうれしいこと」と笑顔を見せた。
坂本は残り2分半にベンチに退いたが、その後も名古屋Dはアグレッシブなディフェンスから得点を積み上げ、21-30で最初の10分を終える。一時は同点に追いつかれたが、坂本は再び勝ち越しの3Pシュートを射抜くなど勝利の起爆剤となった。
「毎日死に物狂い」。昨季のCSが終わった2日後から今季に向けてスタート
積み重ねてきた努力が、いよいよ芽吹きはじめた。
前日のGame1で17得点をマークした並里を6得点に封じたアグレッシブなディフェンスは、東海大学時代に鍛え上げた坂本の武器だ。「試合では相手の一番うまい選手につくようにして、大学の4年間は毎日ディフェンスにフォーカスして練習をしてきました」。それに加えてこのオフには、外国籍選手を一人で守れるようフィジカル強化も行った。
昨シーズンは29本打って4本成功の確率13.8%と低調だった3Pシュートは、このオフに最も力を入れて取り組んできた課題だ。「昨シーズンはプレータイムが少なかったので、『何かを変えなければいけない』『何をしなければいけないのか』を考えて夏の間に取り組んできました。3Pシュートはオフに入る前から練習してきて、やっと自分のものにできたという感覚があります」(坂本)。
デニスHCも「PGとしてはやはりスポットアップの3Pシュートが打てないと難しいところがあるのですが、セイガはずっと努力してきました。彼は昨季のチャンピオンシップセミファイナルの2日後に、すでに練習場にいてシュートの練習をしていました。セイガは誰にも真似できないくらいの頑張り屋。このまま練習を続ければ、いずれはいいシューターになる」と成長を見守ってきた。
中部大学第一高校出身の25歳は東海大学在学時に特別指定選手として加入して今季で5年目。勝負の年であることは坂本自身が最も感じている。オフには同い年のPG加藤嵩都が加入。SGの中東泰斗や今村佳太がPG起用される場面も増えて、エースPG・齋藤拓実に次ぐ2番手争いは激化している。
加藤とはオフコートではよく一緒に食事に行くなど仲がいいが、「毎日死に物狂い。敵だと思うくらいの意識で練習している。今季はそういう意識の部分も変わりました」。
その成長を指揮官は見逃さなかった。「うちにはタケ(加藤)とセイガという2人の伸びしろのあるPGがいます。今週の練習でセイガの方が調子がよいように感じましたし、昨日もセイガは結果を残しました。だから今日は先に彼にチャンスを与えました」。
坂本はその期待に結果で応え、自らの手でチャンスを広げてみせた。
「まだ全然満足していません。長いシーズン、もっと積極的に、特に3Pシュートの部分は意識していきたい」
切長の目で、未来をまっすぐに見据えた。
(写真提
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