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ステップアップした西田公陽 が正PG不在の穴を埋め、“愛知ダービー”完勝の立役者に【2024-25シーズン 第5節】

りそなB1リーグ第5節 名古屋D 74-92 三河(ドルフィンズアリーナ)

 

「チャンスが来て、そのチャンスを掴めたのはすごく価値のある経験でした」

昨シーズンから正ポイントガード(PG)を務める久保田義章がコンディション不良で欠場する中、チームを救う活躍を見せたシーホース三河(以下、三河)の西田公陽は、晴れやかな笑顔で試合を振り返った。

  

「自分のやるべきことにフォーカスできる選手が上に行ける」

アウェーの地に乗り込んでの名古屋ダイヤモンドドルフィンズ(以下、名古屋D)との“愛知ダービー”。三河は序盤シュートタッチが悪く、苦戦を強いられた。その重苦しい空気を、番手PGを担った西田(公)が変えた。

1Qの残り3分44秒に13-5点ビハインドの状況で石井講祐とともにコートに立った西田(公)は、オフェンスリバウンドからチャンスを広げ、石井の3Pシュートをお膳立てする。さらに積極的なドライブで自ら得点を挙げると、ザック・オーガストのドライブをアシスト。守っては持ち味である激しいディフェンスで名古屋Dのオフェンスのペースを落とさせ、目標とする「チームを勢いづけられる存在」になった。

PGができるように練習をしていましたし、自分のやるべきことはわかっていました。大学時代からも『練習が全てだ』と教わってきましたので、特に気負うこともなく、練習でやってきたことをしっかりと発揮しようと考えていました」

第3Qに名古屋Dの齋藤拓実に激しくプレッシャーをかけられてボールを奪われるシーンがあったが、崩れることはなかった。

「齋藤選手にスティールされた時は相手に流れがいっていた状況だったので『やばいな』と思いましたけど、すぐに切り替えて、自分のやるべきことにフォーカスできる選手が上に行けると考えているので、そこでしっかりと切り替えられたところも今日の収穫です。また、そこでオフェンスでどうにかしようするのではなく、自分たちのアイデンティティであるディフェンスで我慢して、チームで追い付けたところが大きな勝因だったと思います」

  

目標の新人賞に向けて、一試合一試合着実に前進

西田(公)がPGに挑戦したのは、特別指定選手として加入した昨シーズンの終盤から。このオフにはハンドリングやシュート確率の向上に取り組んできた。

「新人賞を獲ることが今季目標」と語る西田(公)は、「新人賞の一番の評価基準はプレータイム。多くのプレータイムを勝ち取れるように、何が必要なのか考えて取り組んでいきたい」と開幕前に語っていた。

まさにその言葉の通り、第2節の三遠ネオフェニックスのGame2PG長野誠史が欠場したこともあり11分のプレータイムを得ると、得点リバウンドアシストをマーク。「『意外とやれるんだな』と感じたし、周りからも『すごくいいね』と言ってもらえて自信になった」。この日の名古屋D戦では16分半プレーして得点リバウンドアシスト(EFF13)の活躍。兄・優大とのPGリレーで、久保田の欠場、長野ファウルトラブルの窮地を救い、92-74の完勝劇に貢献した。

 

ライアン・リッチマンHCは「チームのみんなに『誰が練習を頑張っているか?』と聞いたら、おそらく多くの人が公陽の名前を挙げます。平寿哉選手や元澤誠選手にも公陽を見習ってほしいと話している。

公陽は、NBAの選手で言えば、コーリー・キスパート選手と比べても遜色がないくらい非常に高いプロ意識を持っている選手。常に冷静に、安定した練習を行っていているので、試合で今日のようなパフォーマンスを出しても全く不思議ではない」と絶賛した。

 

この日、東海大学の同期である河村勇輝が日本人4人目となるNBAデビューを飾った。西田(公)は「試合、出たんですか!?」と驚きの表情をみせた後、すぐに口元を引き締め、「彼の頑張っている姿に自分も本当にいい刺激を受けますし、お互いに違う場所ではありますけど切磋琢磨するというか、彼に負けずにこれからも自分のやるべきことに一生懸命取り組んできたいと思います」と続けた。

ここはまだはじまり。一喜一憂せず、一歩一歩、目指す高みへと歩みを続ける。

 

写真:シーホース三河提供

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