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就任1年目で春・秋と全国大会出場を果たした中部学院大・間宮監督にインタビューを行いました。

中部学院大の2023年は、岐阜大学リーグを春・秋連覇。三重県・静岡県の優勝チームと争う東海地区大学リーグの決定戦も春・秋と制します。秋はその勢いのまま、愛知・東海・北陸の三連盟王座戦も制覇し、全日本大学選手権、明治神宮大会の両全国大会に出場する快挙を達成。これは中部学院大では2013年以来のこと。
全日本大学選手権ではチーム初のベスト8進出。

間宮監督にはこの1年を振り返っていただきました。

※プロフィール

間宮 大貴 (まみや・まさき)監督

県立岐阜城北高校で活躍。2年生の時に第78回選抜高等学校野球大会に出場しベスト4に貢献。
その後中部学院大に進学し、4年時は主将としてチームを牽引。卒業後はそのままコーチに就任。原監督、大西監督を支え、20234月、監督へと就任されます。

-春・秋と岐阜大学リーグを連覇。そこから東海地区代表決定戦を制して、秋は三連盟王座決定戦も制して両方とも全国大会に出場しました。監督1年目でこの結果については?

全日本大学選手権と明治神宮大会、両方出られたというのは、想定外というかまさかこの2つとも出られるとは、というのが正直な感想です。

-去年は2季連続で優勝を逃した。そこから間宮監督体制に変わっています。その中で選手たちに意識して変えたことはありますか?

それまでは十数年の歴史の中で、勝って当たり前という意識が選手たちに出来ていました。そこから負けてはいけない、そういうプレッシャーも感じながら戦っていたのですが、徐々に勝てるだろうという慢心につながっていた気がします。そうすると一度歯車が狂うと立て続けに負ける、ということが起こってしまう。それを避けるために、いかに自分たちの力を(常に)発揮するか、そのためにどうするか、というのを考えて戦っていくようにしました。
失敗を恐れずにプレーをするというのをチームカラーに、春の実戦開始から意識づけをしていって、徐々に確立した、という感じです。

-最初、春のリーグ戦で中部学院大さんの戦いを見た時に、もちろんリーグの中で強いのは確かですが、そこまで抜けている、という印象は失礼ながら感じていなかった。それが全日本大学選手権で堂々と戦っている姿を見て、成長がすごいな、と。そのあたり監督としてはどう感じていらっしゃいましたか?

 春の岐阜リーグ戦でキーになった試合が、岐阜聖徳学園大さんに1敗した次の試合。
負けた日の夜に選手たちが自発的にミーティングをしていました。そして次の2戦目に相手はエースの有賀投手(東海大諏訪)で、競った展開になったんですけど、終盤に突き放して勝った。その時に強さを感じたんですよね。劣勢とか接戦とかで、ベンチでの掛け声とか、打席に入る前に選手がベンチで話をしている会話などを聞いていて、すごくレベルが上がっているな、と感じました。

-そうすると一つ負けた試合がきっかけとなったと。

 そうですね。負けた次の試合。秋も岐阜協立大に落とした次の試合、中京学院大に落とした次の試合っていうのが、すごくいい試合だった。
負けた試合からすると次の試合が全然違うチームに感じました。あとは優勝がかかった試合、春の中京学院大戦、秋の岐阜聖徳学園大戦というのは、学生たちが勝負強かったな、と思います。粘り強かった。

1年間を通して負けた試合というのは決して多くはないですけど、その負けた試合を次に活かした、ということで成長していったと。秋の優勝のかかった岐阜聖徳学園大戦の試合を2試合見て、中部学院大がちょっと一段上にいるな、と感じました。

春に東海地区代表決定戦での3日間の激闘、選手権での2勝、この経験も活きたかな、と思います。

-春の東海地区代表決定戦も2回、崖っぷちだったんですよね。

そうです。ただ、2日間とも負けた後の試合が非常に良くて。負けた後に切り替える能力というか、負けたら敗退、というところで勝負強かったですね。そしてそれが次の力になっている。秋に強いと感じるチーム力につながったかなと。

-春から秋にかけて投手陣が宮島拓斗投手(興国)以外はほぼ入れ替わっていた。それで勝ち抜いたのがすごいと思いましたし、層が厚いなと感じました。

そうですね。今までは困ったら北田(智郎・正智深谷)、という感じで起用していた。特に春は。それが、他のピッチャーを投げさせてみたら、もっと俺を使ってくれ、というような性格の子たちが多いので、脱・北田じゃないですけど、そういう気持ちを見せてくれて、結果も出してくれたという感じでした。

-うれしい誤算という言い方になるか

 そうですね。ブルペンや練習態度はみんな真面目で貪欲。どこかで投げさせたいというのは元々あったんですけど、宮島がいて北田がいて、という中でなかなかチャンスを与えられなかった。そこから北田が(怪我で)離脱して、その子たちが(チャンスだと)出てきてくれたという。

-意外と先制されても慌てずにひっくり返すという試合が多かった印象ですが、要因というのはありましたか?三連盟の1戦目、金沢学院大戦も中盤までリードを許していましたが、7回にひっくり返した。

僕らが厳しいなと思っている展開でも、選手はそんなこと思っていなくて。いけるな、という雰囲気を作ってくれていました。なので、どこかでひっくり返してくれるだろうと思って見ていました。
試合では劣勢で終盤になると、選手たちがフォアボールを取りに行けるというか、ヒットを狙うのではなく、粘って相手を苦しめる攻撃に切り替えてくれるんですよね。バッターが相手の嫌なカウントになった時に打ちたい球を我慢したり、2ストライクになってもファールで粘ったり。フォアボールの価値というか、そういうのを今まで以上に感じてくれていたのかな、と。

-それは指示を出していたのですか?

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