愛知県高校野球 2年生の有望選手特集② 高蔵寺 芹澤大地投手“一躍プロ注目左腕となった公立の星”
高蔵寺の芹澤大地投手は2024年の夏の愛知大会で最も衝撃を与えた男と言っても過言ではない。大会前から、2年生の公立左腕三羽烏(他は向陽・軍司投手、菊里・土屋投手)のひとりとしてその存在は一部の熱心な高校野球ファンやマスコミに知られていた。この夏の投球で見ていた者をあっと言わせ、NPBスカウトにもその名を強く印象づけた。
最初にインパクトを与えたのは大会初登板となった熱田愛知時計120スタジアムでの明和戦。3回裏にマウンドへ上がると私のスピードガンで140㎞台を連発。球場にはスピードガンがないので、数字では見えないはずの観客でさえ、ボールの迫力にざわつきが抑えきれない。その投球で明和打線を圧倒していく。
より凄みを増したのは最終回の再登板だ。5イニングを投げて降板後、一塁の守備についていたが最終回の1死満塁で火消しに戻った。全力で投球したであろう最後のバッターには141㎞、141㎞、142㎞と速球を並べて三振を奪い、勝利に導く。圧巻だった。
次戦の名城大附戦では場所がパロマ瑞穂野球場に移る。ここには2024年から新設されたスピードガンがあり、これが芹澤投手の存在をより大きく、鮮烈に伝えることとなる。
2回途中、2点ビハインドでマウンドに上がった芹澤投手は投球練習のボールが140㎞と表示されてスタンドをまずざわつかせる。そのイニングで内平選手から三振を奪った際に145㎞をマーク。この試合では7回に降板するまで5回1/3を投げたが145㎞を何度もマークし、そのスピードが本物であることを証明。試合には敗れたものの、大きなインパクトを残し2年の夏を終える。
新聞にも名前が載り、取り巻く環境もにわかに変わった夏。その周囲の変化については「中学の頃の先生とか友達から連絡が来ました」と言うものの、本人は飄々としていて特に動じる様子もない。
NPBのスカウトも挨拶に訪れるようになっており、舞い上がってしまいそうだが、「プロに行けるならいきたいですけど、大学や社会人も含めて、野球を上で続けたいな、と今は考えています」と冷静に話す。
高蔵寺はいわゆる野球強豪校ではない、公立の進学校。ただ、社会人でやっている選手は意外に多く、現在ホンダ鈴鹿でエースとなっている井村勇介投手(至学館大)を筆頭に、日本製鉄東海REXの新原俊哉投手(富山大)、東京ガスの井手駿投手(静岡大)、YBC柏の水野瑛介投手(筑波大)等が活躍をする。公立高校にしては好投手を輩出する率が高い高校だ。
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