愛知野球通信+

愛知県軟式野球の名門、GTRニッセイ野球部を訪問いたしました。

愛知県の野球界のスタートは早い。
もう間もなく1月8日から中日スポーツ杯争奪新春選抜リーグ戦が始まります。

この大会は愛知県の軟式野球チームの中で特に実力の高い10チームが選ばれ、パロマ瑞穂野球場を舞台にハイレベルな戦いが行われている名物大会。

特徴としては、今春に入社する大学生が特別に参加できること。昨年の大学野球で活躍した選手がいち早くデビューすることでも注目される。

今回はその大会に先駆け、前回の優勝チームで、2024年、軟式の愛知県大会を4つ制したGTRニッセイに取材させていただきました。

初めに安城市にある本社へお招きいただくことに。

株式会社ニッセイ本社(安城市)

ご案内を野球部部長の前田光成さんにしていただいたのですが、開口一番、「ニッセイは何を作っている会社かご存じですか?」と質問されました。
「トヨタ関連の部品でしょうか?」と返答。しかし前田さんの答えは「今は車の部品は一部のみで大半は自動ドア等の減速機が主体です。」。ギアを作っているというのは頭に入れていたのですが・・・。自分の不勉強さが情けない(恥)。

株式会社ニッセイとは

創業は1942年。

日本ミシン製造株式会社(現ブラザー工業株式会社)へミシン部品を供給する目的で日本ミシン針製造株式会社としてスタート。

1965年に日精工業株式会社として商号変更。1986年に現在の本社のある安城市に移転。その間に様々な会社からのニーズに応え、減速機を製作し、会社は成長していく。

ブラザー工業株式会社との関係は続き、2013年に連結子会社化。2022年には完全子会社化となる。

現在は国内小型ギアモータ市場でトップメーカーとなり、自動ドアで使われる減速機ではシェア1,2を争う会社となっている。

ちなみに野球部の名前、GTRニッセイのGTRは、1974年から生産、販売している平歯車減速機の商品名である。

野球部の歴史も古く、1947年創部。今年で創部78年となる。
数々の優勝の歴史や優勝旗が飾られている場所も見せていただいた。

優勝旗が3本並ぶのは壮観。

食堂に案内していただくと、こちらでも展示があり、会社の中で野球部が誇りになっていることも伝わってきます。

野球部の記念品等が社員食堂に飾られている

メニューも豊富な充実した社員食堂

GTRニッセイ野球部は週3日、午後から練習を行う。
会社から車で15分くらいの碧海グランドで行っており、この日は紅白戦が行われていました。

この日は紅白戦が行われた。

前田卓哉監督、原田知希主将、黒野諒太郎選手にこの1年の振り返りを中心にインタビューしていきました。

前田卓哉 監督

東邦-中央学院大出身。
東邦時代には2年生時に春・夏と甲子園出場。1学年上には元中日の朝倉健太投手がいた。
2年前に引退してコーチへ転身。2023年の7月に監督へ就任した。

GTRニッセイ 前田卓哉 監督

-2024年は新春選抜リーグの優勝から始まり、東海五県、国スポ、中部日本都市対抗の愛知県大会を制覇中部日本都市対抗の本戦で優勝を飾り、国スポは3位。GTRニッセイ復活の1年となりました。振り返っていただくといかがですか。

前田卓哉監督(以下前田):「新春選抜リーグで優勝したことで、チームがかみ合って勢いに乗りました。優勝としては自力でつかみ取ったというよりは、棚ぼたという部分があったのですが、優勝という結果を得られたことでチームの雰囲気が良くなったことが大きかったです。」

-前田監督は2023年の7月に監督を引き受けました。その時のチームの状況はどんな印象でしたか。

前田:「2022年に引退後、コーチとして帯同していたのですが、当時は負け癖がついていました。そこだけは何とかしたいなと。就任してからは常々日本一を狙うと選手には言ってきました。まずは気持ちを高ぶらせようと。」

-外から見ていて、GTRニッセイの野球そのものは大きく変わっていない印象でした。意識して変えたことはありますか?

前田:「とにかく選手の気持ちを変えようと。選手にはプレーについては任せるが、自分のプレーに責任を持とうと言いました。GTRニッセイというチームでやる以上、みんな野球をやりに来ているはず。勝つためにやっているのだから、練習から責任を持ってやろうと。コウさんがおっしゃる通り野球の内容はほとんど変えていません。意識のところさえ変われば勝てると思っていました。」

-新春選抜リーグ戦の優勝からいい結果が続きました。

前田:「久々にいい結果が続きましたね。ただ、国スポでは3位と全国制覇が出来なかった。目指すのはあくまでも日本一ですから。」

-前田監督は現役を退いたのが2年前。将来は監督としてやるイメージでしたか?

前田:「いえ全く。そもそも引退についても、まだまだ選手としてやるつもりでしたし。当時40歳でしたけど、やる限りは他の選手には負けないと思ってやっていました。会社からコーチをやってほしいと言われたから引退しましたが。」

-2024年のGTRニッセイは監督からみてどんなチームでしたか。

前田:「やはり打線が良かったと思う。昨年は濱元(大希・豊川-愛産大)にかなり助けられました。チームの選手がそれぞれの役割を理解して、それに徹してくれました。試合で劣勢になってもいけるだろうという感じがあり、その通りに勝つことが出来た。」

紅白戦でも打線が目立っていた。

-8月から入った黒野選手がものすごい活躍をみせた。

前田:「他のチームの関係者から『反則だ』みたいに言われます(笑)。昔のニッセイみたいだとも。どこでもホームランが打てるチームになっています。」

-一方で高木祥宏選手(東邦-名城大)が苦しんでいたように思います。

前田:「ただ、高木はめちゃめちゃ練習するんですよ。ちょっと前に怪我をして、その影響もあったと思います。今シーズンはやってくれるのではと期待しています。そうしたらもっとすごい打線になりますね。」

-投手陣はやや苦しい印象でしたが、中島蒼馬投手(県岐阜商-東北福祉大)、三浦勝志投手(豊田大谷-国際武道大)が要所で踏ん張りました。

前田:「2年目になる縄田(渉・大阪桐蔭-中部学院大)近藤(聖・大成-星城大)に目途が立ったので、今年はいい働きをしてくれるのではと思います。新人で入る山方(海斗・愛産大工-星城大)も軟式向きでバッターを見て投げられるタイプなので、即戦力と期待しています。」

新春選抜リーグ戦では投手陣の頑張りがカギを握る。

-今年は上を目指す1年。

前田:「今チームとしては1番いい時期だと思う。今年、来年で日本一にならないといけないと思っています。」

-近年、新春選抜リーグで優勝したチームがその年に全国へ行くパターンが多い。大事な大会となりますが、要注意のチームは。

前田:「三京アムコさんに昨年2回やられたんですよね。そこはやり返さないと駄目だと思っています。ただ、相手がどうこういうよりは自分たちの野球が出来るかどうかが大事。チーム力は紙一重だと思いますので、一戦一戦大事に戦いたい。」

-改めて今年1年に向けて。

前田:「去年は全国に出られてよかった、という気持ちが強かった。国スポで3位になったことで、今年こそは、という感覚になる。会社も期待してくれているし、選手も自信になっている。昨年はあえて経験を積ませた試合もあったので、それを生かして今年は日本一を目指して戦いたい。」

原田知希 主将

大阪桐蔭-中京大出身。
新城ボーイズから大阪桐蔭へ進学。キャッチャーだったが高校の途中から外野手へ。
中京大では現トヨタ自動車の和田佳大内野手と同期。
今季が6年目となる。

GTRニッセイ 原田知希 主将

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