冬の練習訪問2025② 一宮興道編 “個性派投手から青年監督へ。高校野球への恩返しを目指して、チームと選手を育成中”
今回、冬の練習訪問として一宮興道にお邪魔しました。
なぜ一宮興道に取材で訪れたか?
その一番の理由は監督である野村颯大さんの存在でした。
野村監督は2023年4月に一宮興道へ異動となり、2024年に監督へ就任。監督としてはまだ1年生。現在28歳と若く、まだこれからと言っていい存在です。
事の発端は野村監督の現役時代。その雄姿を私は球場で目にして、レポートしていたんですよね。
その時の観戦記がこちら。
その独特な投球フォームは衝撃が強く、この年の名古屋南は4回戦まで勝ち進んだこともあって、当時の新聞等に大きく取り上げられます。

現役時代の野村颯大“投手”(本人提供)
この時に本人が語った「フラミンゴ投法」。
これ、僕の観戦記を見て野村さんご本人が記者さんにしゃべったそうなんですよね。
なので名付け親は私(笑)。
当時、旧Twitterでご本人とやり取りしたこともあって、すごくそれを喜んだ記憶がありました。
その野村さんが先生となり、昨年から監督になった。
そんな縁もあり、是非お話を聞きたいという思いから実現した一宮興道、野村監督への取材。高校時代の話から、監督への道、現在とこれからの一宮興道について伺っていきました。

現在の野村颯大監督
2024年夏
●6-8千種新チーム後のチーム成績
尾張地区1次
〇14-4杏和
●8-11一宮西
2次
●6-7小牧工科全尾張地区予選
〇10-7丹羽
●6-7一宮
〇野村監督の高校時代・フラミンゴ投法について
独特のフラミンゴ投法。
試行錯誤の上たどりついたフォームとのことだが、きっかけは元中日の吉見一起投手を意識したことから。「吉見投手が左手を前に出す投球フォームで投げていた。それをイメージしてシャドーピッチングを繰り返すうちに段々とあのフォームになりました」と当時を振り返る。
「あの投げ方になってからはそんなに打たれる感じはなかったです」と大会までには手ごたえを得ていた。最初はチームメイトですら、そのフォームを笑っていたそうですが、結果で黙らせていく。「それこそ夏の大会では相手の応援団がスタンドで自分のフォームを真似しているのが見えた。“舐めているな”と思ったが、むしろ舐めてくれているくらいがちょうどいいと思っていた」としてやったりの表情を見せる。

インパクト抜群のフォーム(本人提供)
野村投手の好投もあり、名古屋南はその年3勝して4回戦進出。これは今でも同校の最高成績のタイ記録となっている。
〇監督を目指すきっかけが夏の大活躍
あの夏が無かったら今の自分はいないと言い切る。「最後の夏までは本当にいいところがなく、チームの足を引っ張っていました。エースになれるかも分からないくらい。ただ、1つ下のピッチャーが夏の大会前に怪我をして、自分しかいなくなった。もうやるしかないという状況になって腹を括りました」。
そして夏の大会で活躍し、新聞にも取り上げられた。いい思いをさせてもらったことで、「先生になって高校野球に恩返しをしたい」と考えるようになる。
そこから猛勉強をしたものの、希望の教育大には進めず。だが進学した愛知大でも教員免許は取れる。切り替えて大学生活では教員になるために必死に努力し、無事に教員免許を取り、採用試験にも合格。卒業してすぐに教員となった。
恩師への感謝を口にする。「藤村亮二先生(現大府東監督)の存在は大きかった。現役の時は厳しくて、怖い存在でしたが、夏に勝たせてもらって、教員志望となってからもすごく面倒を見てもらった。人生を変えてもらった存在です」。
〇一宮興道の特徴と現在
教員採用後、一宮起工科に赴任。2023年4月に一宮興道へ異動し、2024年4月から監督として指揮をとる。
一宮興道は補習が多く、勉強に力を入れている学校。多くの公立高校と同じでグランドは他の部活との共用となり、普段はサッカー部、ソフト部、陸上部、ハンドボール部と分け合って活動を行う。

色々な部活と共用で使用する。
練習試合を自校で行える広さはあるが、他校に出向くことが多い。
現在、選手は22人。学年別の内訳は2年生が13人で1年生が9人。マネージャーは全部で6人となっている。
学校自体は人気校になっているそうで、制服が今の形になってさらに人気が上がったとのこと。
野球部としての成績は夏の愛知大会は4回戦進出が最高成績(1988年・1995年)。県大会は2019年秋に進んだのが最後でなかなか勝ちきれない状況が続く。
「昨年夏は6-8で敗戦。秋は負けたら終わりの2試合(秋季地区2次予選と全尾張予選)がどちらも6-7。チームとして、いい試合をしても勝ち切れないのが課題となっています」と現状を評価する。
〇冬の練習テーマ
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