バスケットボール・クラッチ

ブレックス 渡邉裕規「ああいうふうになりたいなって思いました」インタビュー

(撮影:山田壮司)

 

今シーズンは全試合に出場し、プレーのみならず、その言動でチームをけん引した渡邉裕規。スターターとしてプレーしたシーズンに、チーム史上最高勝率を記録したことからも、彼の今シーズンの活躍ぶりは理解できるだろう。テレビのゲスト解説も務めたアルバルク東京と千葉ジェッツのファイナルからは、さまざま刺激も受けたようだ。そんな渡邉が目指す、今後のブレックスの姿とは―。

 

レギュラーシーズンの結果だけじゃない

―今シーズンは、残念ながらセミファイナルで敗退となりました。渡邉選手は、「緻密さの部分で反省がある」ということを言っていましたね。

よく「遂行力」って言いますけど、それは、いかに高い精度でプレーができるかっていうことなんです。その精度がピークになるというか、やってきたことの完成度が一番高い状態。もしくは、そんなに高いパフォーマンスができなくても、勝ち切れるクオリティーと選手の能力が必要なんだとファイナルを観ていて思いました。セミファイナルの話でいえば、それが出来ていなかった。というか、僕たちよりも千葉が上回っていたということだと思います。

いつも言うんですけど、一つのリバウンドとかルーズボールとか、通れば点になっていたパスとか、決めなければいけないシュートとか…。そういうのは数知れずあって、でも僕がファイナルを観て思ったのは、やっぱりレギュラーシーズンの結果だけじゃないんだなっていうことでした。前評判なんていうのは、周りが騒ぎ立てているだけのもので、そういうのって盛り上げるためには必要だけど、関係ないんだなって。それは今回の決勝を観れば一目瞭然ですよね。

 

A東京と千葉のファイナルの試合を解説されていたんですよね。試合を客観的に観て、ほかにどんなことを感じましたか。

東京は、1Q(クォーター)の最初からガツンと入ったんですけど、途中で捲られたんです。ミスもあって、ここから千葉のペースだなと思ったけど、千葉も点数が伸びなくて。その間に、東京は途中から出たメンバーがつないだんですよね。やっぱり強いチームってこうだよねって思いました。

ハーフタイムが明けた後半の1発目には、(竹内)譲次さんが23本シュートを入れたんですけど、あれはすごいなと思いました、本当に高い水準で。あとはオフェンスリバウンドとディフェンスリバウンド。勝負所を分かっているというか…。結局、17点ぐらい点差が広がって、千葉も追い上げたんですけど、時すでに遅しという感じになってしまいました。千葉は、悔やんでも悔やみきれないと思います。

 

試合を観て気付くことが多かったんですね。

自分がやっている時より、観ている方が気付くことが多かったです。「あ、今のプレーで流れが変わったな」ってすごく分かりやすかったです。

バスケットを知らない人が観たら、もしかしたら退屈な試合だったのかもしれないですけど、ディフェンスの強度とかディフェンスで仕掛ける部分、ベースラインからダブルチームに行っているのとかを観ても、すごいなって思いました。

千葉が攻めあぐねていたし、東京は千葉のファストブレイクを抑えていました。東京も、ターンオーバーが多かったりもしたけど、高いクォリティーでプレーしていたと感じました。特に3Q。それは、セミファイナルで僕らがやらなきゃいけなかったことだなって思いました。

 

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