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町田洋介AC「ブレックスは全員が自己犠牲を払って、それを厭わずに戦えるチーム」インタビュー【無料記事】

町田洋介AC(アシスタントコーチ)に、あらためて2020-21シーズンを振り返っていただきました。AC目線でのシーズン総括は、選手とはまた違った見方や感想があり、とても興味深く話を聞かせていただきました。選手への向き合い方や「町田洋介賞」の話など、なるほどなぁ~と納得しながらの取材となりました。(文・藤井洋子/写真・山田壮司)

 

充実したシーズンだった

2020-21シーズンを終えて、今の率直な感想を聞かせてください。

2019-20シーズンは新型コロナウイルスの影響でシーズン途中で終わってしまいました。僕自身は2018-19シーズンの途中からブレックスに来ているので、シーズンをフルに戦ったのは初めてでした。しかもファイナルまで戦って合計67試合というのは、まあ長かったし、きつかったです()。でも、その分、充実したシーズンになりました。

 

―レギュラーシーズン(RS)の勝率はリーグ1位という素晴らしい結果を残しました。

竜三さん(安齋HC)を中心に、佐々(宜央AC)と2人で試行錯誤しながらやってきました。最初から出来上がった感じは全くなくて、一つ一つ積み上げながら、負けた試合もしっかり活かしながらやってきました。負けた試合の中には、もう少しちゃんとできていれば勝てたゲームが何試合もありました。だからもっと勝っていてもおかしくなかったと言えばそうなのですが、それは “たられば” の話なので、そういうことを繰り返しながら、負けも活かしながらステップアップし続けられたと思っています。

 

1試合も欠けることなくシーズン全試合を完遂できたことも良かったですね。コンディションや体力の部分でも、かなり気を使っていたのではないですか。

全員試合に参加するという竜三さんの方針があり、タイムシェアをしていたので、コンディションの部分はそんなに気を使ってはいませんでした。水曜ゲームもある中で、まあまあきついスケジューリングでしたが、うちのチームはタイムシェアできる選手層があったし、竜三さんのローテーションの組み方もうまく作られていたので、RSはプレータイムが偏ることがないよう、うまく回っていたと思います。

 

RSの最後で川崎ブレイブサンダースに2連敗となり、その後、チャンピオンシップ(CS)でも川崎と対戦することが分かりました。安齋HCの話によると、ビッグラインナップはセミファイナルの川崎戦に向けて少しずつ練習を重ねていったのではなくて、「CSで対戦する1週間前に練習を開始した」と話されていましたが、それは本当なんですか。

本当にそうでした。多分、竜三さんの頭の中では考えていたとは思いますが、練習含めて、現場レベルで準備したのはこの期間だけです。

 

―ビッグラインナップは、RSの最後にちょっとだけやりましたよね。あれは試しにやってみたという感覚ですか。

さすがにあのまま負けるのは何も残らないというか、次に対する準備という意味で、試そうと一瞬やった感じです。なので、練習ができたのは川崎とのセミファイナル前の1週間…、いや数日でしたが、そこで準備したという感じです。

 

―てっきり、天皇杯で敗戦した後にこれをやれば勝てるんじゃないかという考えがあって、コーチ陣の中でそれをいつやるかで話し合った結果、CSの場でやろうと、秘策じゃないですけど、この作戦は取っておこうという感覚だったのかと思っていました。

そういうストーリーではなかったです。どちらかというと苦肉の策に近いですね。うちのチームには、ライアン(ロシター)がいて、(竹内)公輔もいて、ジェフ(ギブス)も動けて…という、そうしたいろんな条件を加味した時に、うちがビッグラインナップをすることは、やり方によってはプラスに働くなと話しました。

一番心配していたのは、オフェンスの部分です。どういう風に回せるか、組み立てるかというところは少し考えました。できれば、いつも自分たちが戦っている戦い方をしたかったんです。怖いじゃないですか、それで結果が出ないケースもあるので。

もう一つは、普段試合に出ている選手たちが調子を崩すというか、リズムが狂う可能性もあるので、そういう心配もありました。でも、結局、良い方に出て良かったです。

 

 

 

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