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最高勝率千葉の富樫以外のもう一人のキャプテンの存在価値とは? 佐藤が明かすキャプテンとのキズナ

 

「オマエは3Pが上手い選手なんだよ! だから打て! 迷わず、打てよ!」

そんな風に仲間の背中を押してくれ選手がいるのなら、押された側は自信を持って3Pシュートを打てる。そして、その自信はシュート成功率を上げるはずだ。

では、この声の主は?

“もう一人の”キャプテンである。

富樫はチームの顔でもあり、千葉ジェッツのキャプテンを任されて3年目になるためキャプテンとしてすっかり認知されてきた。

ただ、Bリーグ史上最高勝率と最高勝利数を記録した今シーズンのジェッツに、富樫と並ぶもう1人のキャプテンがいることはあまり知られていないのかもしれない。パトリックHCによって、2人目のキャプテンを任されたのがローである。

加入初年度ながらキャプテンを任されたのにはもちろん理由がある。来日1年目の選手としては異様なまでのスピードで日本語を覚えるような姿勢だったり、練習や試合でチームメイトによく声をかけるキャラクターだったり……。

今シーズンの千葉の成長の一因が、選手間でのコミュニケーションが増えたことにあるのは多くの人が指摘しているとおり。そんなコミュニケーションの活性化に一役買っているのも、ローである。

ただ、富樫のようにキャプテンとして公の場で発言を求められることが少ないこともあり、彼のリーダーシップについてはこれまであまり知られてこなかった。

 

 

そんなローの価値を証言する選手がいる。佐藤である。

象徴的な場面が、広島ドラゴンフライズとのCS準々決勝GAME3であったという。

あの試合の第3Q(クォーター)の残り1分38秒の場面。右サイドにいるローから、逆サイドの深いところにいる佐藤へとパスが渡った。「3Pを打て!」というメッセージがこめられたパスに見えたが、佐藤はすぐにシュートは打たなかった。結果的にドリブルをついてから、中に切れ込んでシュートを放ったが、リングからは大きく外れ、ゴールのついているボードの側面にボールを当ててしまった。

試合後のヒーローインタビューで佐藤がこう明かした場面だ。

「ビビって3Pを打たないで、その直後に打ったシュートがボードに当たってしまったので……」

最終的には、そのあとの第4Q、残り8分34秒の場面で佐藤は3Pシュートを決めて、勝利を決定づけた。だから試合後にヒーローインタビューでファンの前で話すことになった。

ただ、そこに至るまでの過程では、もう一人のキャプテンであるローのサポートがあった。

佐藤がシュートをボードにあてた少し後のこと。「オマエは何をやっているんだ!?」とローが真剣にゲキを飛ばしてきて、その後にこう続けたという。

「オマエは3Pが上手い選手なんだよ! だから打て! 迷わず、打てよ!」

もちろん、ボードに当てたシュートを打ってしまった後に、佐藤は強気で打たなかったことを反省してはいる。ただ、その後にはローの言葉で勇気をもらえた。

そして、勝利を大きくたぐり寄せる、3Pシュートの場面がやってくる。

佐藤にパスを出したのは、またしても、ローだったーー。

 

 

 

試合後、佐藤はローにこう伝えた。

「オレのことを信じてくれて本当にありがとう!」

返ってきた答えは、まるでマンガ「スラムダンク」でキャプテンの赤木が、桜木にかけるような刺激的な言葉だった。

「俺たちはずっと一緒にシューティングの練習してきているだろ。俺たちがどれだけの練習をしてきたと思っているんだ? そこに自信を持って、迷わず打てよ!」

ファイナルズの会場となる横浜アリーナは、普段はプレーする機会がなく、ゴールの背後にかなりのスペースがあるため、長距離のシュートを打つときの距離感がつかみづらいことでも知られる。ここで行なわれる試合で、ときに3Pシュートの確率がかなり低くなることがあるのは、それゆえである。

そのような会場がファイナルズの舞台であるからこそ、ローのような声をかけられる選手の存在が重要な意味を持つのは間違いない。富樫とロー。2人のキャプテンがそれぞれに仕事をしているところにも、今シーズンの千葉の強さの秘密は眠っているのだ。

一人目のキャプテン富樫は有名だが…

そんなローの背番号は4番。日本の学生スポーツでキャプテンに与えられる番号である。スラムダンクで赤木や牧が背負っているように。果たして、これは偶然の一致なのだろうか。

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