限界突パ

【緊急連載 番外編】渡辺久信のリーダー論はチームに受け継がれているのか。数々の成功を”解剖”せよ!

真っ先に指揮官がベンチを飛び出した。
8月24日の対楽天戦。3−2と1点リードの8回裏の攻撃で、3番の佐藤龍世が死球を受けたからだ。

「わざとじゃないと思うけどね。当てちゃいけないタイミングだったから」

乱闘にまでは及ばなかったものの、指揮官の渡辺久信監督代行が激昂する場面にはリーダーの風格が感じられた。

プロ野球の監督の姿勢とはどうあるべきなのか。
渡辺久信監督代行の就任以降、結果如何に関わらず、そう感じることは多いがそのもっとも象徴的なシーンと言えた。

試合前後の渡辺久信監督代行の話を聞いていて感じるのは指揮官の選手を鼓舞させる力だ。

チームの戦力が大きく変わっているわけではないから勝敗は致し方ない部分はある。ところが、これまでローテーションに定着できなかった渡邉勇太朗が強い自覚を持つようになったり、一見、好きなようにフルスイングしている山村崇嘉がチームバッティングに徹したり。ベンチで得点のたびに大喜びするエース・今井達也の姿など、勝つための選手のメンタルの作り方が出来上がっている印象だ。元来、負けず嫌いの彼らの矜持のようなものが引っ張り出されている印象だ。

戦力が整い、全てが揃った時に、西武が強い理由はこうしたメンタル作りから生まれるのだろう。

そんな渡辺久信監督代行の「リーダー論」のような姿勢を見た時にふと思ったのはこうした彼の手腕の継承だ。

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