西武・栗山巧の劇的逆転本塁打に、若手たちを何を感じたか。蛭間拓哉、佐藤龍世、滝澤夏央、山村崇嘉・・・。
西武が8月31日の日ハム戦で2−1と逆転勝ち。前日にCS出場が絶望になったばかりだったが、エースの粘投に答えたのは41歳のベテラン栗山巧だった。8回2死から逆転の2点本塁打。「千両役者」とはこのことだが、一方で、最下位に沈み、伸び悩みが叫ばれる西武の若手野手陣は栗山のホームランに何を感じたのだろうか。(取材・文 氏原英明)
この日、一番の快音を響かせた打球は試合を決める劇的な一発になった。
「うちの打線がどうかっていうより、相手を見ていましたね。投手やキャッチャーがどういうふうな攻め方をしているのかとか、それだけでしたね」
勝負所で何をすべきなのか。いつ訪れるかもわからない出番を待ちながら1打席に備えた西武・栗山巧は8回裏、2死三塁の場面で打席に立つと初球のストレートを一閃。右翼スタンドに放り込んだ。CS争い真っ只中の日ハムは勝利を目指し決死の継投を試みた中だったが、相手の思惑を粉砕した。
今シーズン、初のお立ち台だった。実は過去にもタイミングはあったが、それを断り続けてきたのは「少しでも若い選手に陽が当たる」ことを望んでいたからに他ならない。「今日は賛否はないかなと思って」ファンの前にようやく姿を現した様はやはり千両役者だった。
ただ、ホームランを打った時は興奮の坩堝と化したが、チームはリーグダントツの最下位で、前日にはCS絶望という現実に直面したばかりだった。それだけに栗山なりの思いもある。
「毎日、詰めかけてくれるファンの皆さんに優勝争い、いい順位で9月を迎えられない悔しさ、申し訳なさがあります。それだけ負けているってことは全然活躍できてないし、シンプルに勝負事に負け続けてるっていう悔しさ、歯痒さもあるんで。でも、明日も試合はあるし、いいプレーができるように毎日、それの繰り返しと思う。上位チームと戦うにあたって、向こうの集中力であったり、勝負強さであったりとか、
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