限界突パ

【惜別連載】引退の西武・金子侑司「ファンの人が喜んでくれたら」。どん底から這い上がった12年間のプロ人生。

Bクラスが確定したパ・リーグ最下位の西武が2人の引退を発表した。チーム成績が振るわなかった今季だけに、リーグ連覇のメンバーだった二人の引退は寂しさが残る。ここ数年の成績から彼らの引退が避けられないものだったとしても、いいチーム状態で現役を退くというのは選手として理想的な形ではないだろうか。彼らが残したものは何だったのか。惜別の想いを込めて彼らの活躍を振り返った(取材・文 氏原英明)

こんな選手がいるのか。

2008年春のゴールデンウィーク。近畿地区のドラフト候補や甲子園に出場しそうなチームを見て回っていた時に、立命館宇治のショートストップに目を奪われた。

金子侑司。当時は右打者だったが、華麗なフットワークで見せる守備とパンチ力のあるバッティングには高いセンスを感じることができた。実は、前日、大阪桐蔭の浅村栄斗(西武〜楽天)のプレーを見ていた。実は彼も、高校3年春までは低評価だったのだが、連日、低評価を払拭するポテンシャルを見せた二人を見て「まだまだ逸材がいる」と感じたのを覚えている。

金子は前監督の松井稼頭央に憧れていた。高校時代から常に意識の中にいて、目指すプレイヤー像だった。

実は大学時代から注目を浴びた金子が世間から認められるようになったのはその脚力だった。大学日本代表にも選出されている。
しかし、金子はそこに納得いっていなかった。当時、こんな話をしていたものだ。

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