高校野球 秋季大阪大会2023 各ブロックの展望
高校野球は夏の甲子園も終わり、現在、絶賛U-18W杯が台湾で開催中。しかし、各地で来春のセンバツにつながる秋季大会が開幕し、大阪も9月に入って始まった。既に敗退してしまったところも出てしまってはいるが、今大会の組み合わせ抽選を見て、各ブロックごとに展望を語ってみたい。なおトーナメント表は用意できなかったため、大阪府高野連より発表されたものを参照していただきたい。
Aブロック
この夏、甲子園を逃したとはいえ大阪桐蔭がやはり大本命。旧チームから主力だった徳丸快晴、ラマル・ギービン・ラタナヤケといった主軸打者と平嶋桂知などエース格が健在。前田悠伍頼みだった昨年のチームよりも選手層は厚みがありそうだ。このブロック、大阪の本命どころか神宮大会3連覇の偉業も夢ではない戦力だ。しかし、大阪桐蔭のゾーンには太成学院大高、関西創価、上宮といった強豪私学が控える。大阪桐蔭といえど容易には勝ち上がれないだろう。それ以外にも各ゾーンに強豪校が集まり、序盤から激戦必至のブロックだ。近大付と早稲田摂陵、箕面学園と大商大高、大体大浪商と浪速といったところが4回戦までにそれぞれ対決する可能性がある。さらに八尾、泉陽、市立堺といった公立の実力校も上位を狙う。特に泉陽はこの夏は上宮相手に勝利。その原動力となった吉田惺と天堀仁人のバッテリーが健在。厳しい組み合わせではあるが、1954年の春と夏にそれぞれ甲子園出場の実績がある伝統校かつ進学校。5回戦以上まで勝ち進めば21世紀枠候補の筆頭になる。

大砲としての活躍が見込まれる大阪桐蔭のラマル・ギービン・ラタナヤケ。
Bブロック
悲願の甲子園への戦いが続く大商大堺、好遊撃手の今坂幸暉擁する大阪学院大高、元阪神の岩田徹監督が率いる大阪偕星学園、エースの万力康生と二遊間のレギュラーが残る関大一の4校が軸になるだろう。大商大堺は大阪高と、大阪学院大高と大阪偕星学園は3回戦でそれぞれ激突する可能性がある。大阪高は好右腕の上田琉生が残るが、夏は3年生主体だったため選手がごっそり入れ替わる。チームとしての仕上がり具合が気になるところ。今春の府大会優勝の金光大阪を夏に下したダークホースぶりを発揮できるか。
組み合わせ全体としてはAブロックに有力校が集まったためか、こちらは公立校が多めの印象だ。桜宮、大冠、北野など公立の実力校も点在しており、久々に公立勢の8強入りが期待できそうだ。また、千里青雲と天王寺が初戦で当たるが、この秋から大塚を公立の雄に押し上げた室谷明夫氏が監督に就任。その新天地での初陣が母校・天王寺との対決というのも興味深い。天王寺は昨年の5回戦進出以上を狙う。3本線の帽子がトレードマークの古豪公立の市岡はこの夏は選手不足で棄権という結末に終わり、その鬱憤を晴らすようなプレーに期待だ。

あと一歩の戦いが続いている大商大堺。写真は今春の府大会のもの
Cブロック
注目はこの夏の代表校である履正社。甲子園を戦ってからの短期間でのチーム作りという難しい課題を抱える中、初戦の相手は初芝立命館。さらに公立の雄・汎愛、4回戦では今春優勝校の金光大阪と当たる可能性があり、難敵との相手が続き、厳しい戦いが予想される。逆にここを乗り越えれば、2年連続のセンバツも見えてくる。
それ以外にもAブロック同様、有力校が序盤から激突する組み合わせが目立つ。昨年からよく当たる東大阪大柏原と寝屋川はこの秋もいきなり初戦で対決。さらに東海大大阪仰星も控える。この中では旧チームからの経験者が多く残る東大阪大柏原が優勢か。履正社の仕上がり次第ではこのCブロックを勝ち抜く力も秘める。さらに安定した戦いぶりが光る関大北陽、巻き返しを狙う大産大付、最近、力をつけつつある大阪電通大高、近大泉州といった私学勢も忘れてはならない。公立勢では先に上げた汎愛、寝屋川の他に岸和田、香里丘なども機動力を使えるチームで私学勢をかき回したい。信太も爆発力のあるチームで、こちらも上位進出を狙う。

この夏の甲子園でも快速球を披露した履正社・高木大希。新チーム躍進の鍵を握る右腕
Dブロック
AブロックとCブロックに有力校が集まった影響か、このDブロックはややおとなしめの印象がある。その中で中心となるのは興国と上宮太子か。興国も学校をあげての強化に乗り出して久しく、府内屈指の部員数の多さに加えて、実力も安定してきた。上宮太子も巨漢ながらシュアな打撃が光る岡本賢明と打線の柱が健在。他には興国と同じく古豪・大鉄を前身とする阪南大高、私学ながら文武両道を実践する清教学園といったところが対抗馬になる。今春の府大会で上位進出し、初のシードを獲得した精華、関西大倉の勢いある戦いぶりにも注目だ。
有力校がやや少ないため、Bブロックと同じく公立勢にもチャンス。三国丘、四條畷、今宮、春日丘といった進学校、岸和田産、大塚、堺東なども質の高い野球を展開してくる。昨秋5回戦に進出し、大阪の21世紀枠候補に推薦された佐野は府内ではすっかりおなじみとなった全員スイッチヒッター&ノーサイン野球。今年もユニークなチーム作りで上位進出を狙う。やや無風な感じも漂うが、公立、私立含め個性的なチームが揃っており、その戦いぶりは見応えがありそうだ。

大柄の強打者・宮島佑太(興国)。古豪復活へ、打線の柱となれるか。
各校の新チームがどんな戦力なのかまだ未知数のため、これまでの実績があるところや旧チームのレギュラーが残っているところを有力校としてあげたが、おそらくここであげていない実力校もあったり、新チーム発足から間もないこともあり、勝ち上がっていくにつれ力をつけてくるチームも出てくることだろう。2020年秋に3位に進出した山田は大会前は誰も予想できない勝ち上がりだったはずだ。昨年から公立勢は8強に進出できていないが、山田のような旋風を巻き起こすチームの登場に期待だ。
序盤から気になるカードはあるものの残念ながら、この秋も序盤は無観客試合となり、その模様は見られない。有観客開催になるであろう5回戦以降の上位進出校のプレーを楽しみにしたい。また、今年の近畿大会は大阪シティ信用金庫スタジアム(舞洲)が会場で、大阪勢にとっては慣れ親しんだ球場での開催となる。また、近畿大会開催時は大阪では禁止されているブラバンなどの吹奏楽の応援も可能だ。スタンドからは今年解禁された声援だけでなく聞き慣れない音色も響き渡る。そんな近畿大会出場の枠が与えられるのは3つ。履正社が春夏春の3季連続か、大阪桐蔭が王者返り咲きとなるか。それとも第三勢力が登場するのか。時代も令和になり、勢力図も変わりそうで変わらない感のある大阪だが、この秋はどのような結末を迎えるのだろうか。
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