秋の全国大会の結果 高校、大学、社会人
11月も後半を過ぎて、今年も残すところあと12月のみ。11月20日の明治神宮大会をもって、アマ野球の公式戦はすべて終了。この間、社会人野球全日本選手権も開催されていたので、そちらの結果も合わせて紹介する。
まずは神宮大会の高校、大学の部の結果をそれぞれ4強まで紹介する。
【神宮大会(高校の部)】
優勝:星稜(北信越)
準優勝:作新学院(関東)
4強:関東一(東京)、豊川(東海)
【神宮大会(大学の部)】
優勝:慶応大(東京六大学)
準優勝:青山学院大(東都大学)
4強:日本体育大(関東5連盟第2代表)、富士大(東北3連盟)
【社会人野球 日本選手権大会】
優勝:大阪ガス(近畿)
準優勝:Honda熊本(九州)
4強:西濃運輸(東海)、日本生命(近畿)
それぞれ、以上のような結果となった。
まず、高校の部は星稜が松井秀喜氏(元巨人、ヤンキースなど)を擁した1991年以来、32年ぶりの優勝を果たした。これにより、神宮枠は北信越地区に付与され、2枠から3枠となる。北信越地区としては2015年の敦賀気比以来、星稜としては初の優勝を狙う。星稜のエース・佐宗と決勝で投げ合った作新学院のエース・小川哲平の二人は中学軟式出身。2021年の全日本春季決勝でも投げ合っているが、その時も佐宗が勝利している。小川擁する作新学院としては3度目の正直で雪辱だけでなく、春、夏で一気に頂点まで駆け上がりたいところだ。
史上初の3連覇を狙った大阪桐蔭は初戦となる関東一戦で5失策を喫するなど相手に試合を優位に進められて敗退した。この秋の府大会から守備が懸念材料だったが、慣れない神宮の人工芝や雨上がりというコンディションも重なって顕在化した。打線はラマルの本塁打などでその力を発揮したが、平嶋など投手陣も本調子でなはく、失策をカバーするような投球ができず及ばなかった。
大学の部は春の全日本大学野球選手権に続き、東京六大学勢と東都大学勢の対決となった。大学四冠をめざした青山学院大だったが、慶応大が投手戦を制して優勝を果たした。夏の甲子園は高校が、秋は大学が全国を制し、今年の学生野球はまさに慶応のシーズンになったといっていい。一時期、地方大の躍進も目立ったが、その地方大の躍進が発奮材料となったか再び東京六大学と東都大学の強さが際立ってきている。
関西勢は天理大、大阪商業大がそれぞれ初戦敗退。こちらはなかなか全国の壁が厚い。2019年に関西大が準優勝したものの、春は2006年の大阪体育大、秋の神宮に至っては1997年の近畿大まで全国での優勝がない。東京六大学や東都大学中心に関東に人材が流れている影響もあるだろうが、大阪、兵庫など野球熱の高い地区だけに関西の大学の野球界が優勝戦線に絡むことが少ないのは一抹の寂しさを感じてしまう。強打者が各リーグに点在する来年あたりは是非ともその寂しい空気を払拭する戦いを見せて欲しい。
高校、大学は神宮という舞台で振るわなかったものの、大阪で開催された社会人野球日本選手権は大阪ガスが優勝した。都市対抗ではトヨタ自動車はじめ東海勢の躍進が目立ったが、この日本選手権では準優勝した九州のHonda熊本はじめ、各地域が満遍なく勝ち進み、大学野球に比べると、地区の格差は少ない。その中で近畿勢の大阪ガス、日本生命が4強以上に勝ち残った。この2チームは近畿でもこの1年ほどはやや苦しんでいた印象だが、大阪ガスはスター選手が少ない中で2年ぶりの優勝を勝ち取った総合力の高さはさすがだ。
社会人野球はアマ野球の最高峰とも言われ、都市対抗や日本選手権の予選は敗者復活戦こそあるが、基本的には一発勝負のトーナメント制。その戦い方は同じく一発勝負のトーナメント制の高校野球の選手、指導者にとっては参考になる部分も多い。戦術だけでなく、プレーそのものもハイレベルで技術面も参考になることだろう。主観ではあるが、一発勝負の大会が多い社会人野球は高校野球のような試合が好きな人はこちらも興味を惹かれるコンテンツだと思う。最初は高校時代に応援していた選手をふらりと見に行くというきっかけでもいい。今までアマ野球は高校野球しか見たことがないという人は社会人野球の観戦もいかがだろうか。同じようなきっかけとして大学野球もいい。最近は硬式だけでなく準硬式や軟式も熱い。
日本の野球界は今は様々な課題もあるが、その一方でアマ野球の裾野の広さは日本の野球界の特徴でもあり、強みでもある。関西のアマ球界の躍進を願いつつも、他地区でも活躍している選手の今後の活躍も追っていきたい。