舞洲ってどんな球場?プレーした選手や監督に聞いてみた
今年の春、秋の高校野球秋季近畿大会の会場となった大阪シティ信用金庫スタジアムこと舞洲。ここは強烈な風など独特なグラウンド環境である。地元の大坂の選手でさえ、その風の対応に苦しむチームもある。では、この慣れない舞洲で戦う他府県の高校や選手はどのように感じていたのか。試合レポのコメントと若干、被る内容もあるが、感想、対策などを監督、選手に聞いてみた。
履正社・多田晃監督
――府大会準決勝後のコメント。雨が降り、土も水分を含んだ状態での試合。機動力を使う作戦はやりにくさがあったのでは?
「今日ぐらいのグラウンド状態なら問題なくできましたね。舞洲球場は水捌けもいいですし。生徒らも走りづらいとかいうのはなかったです。もう少し水たまりとかができるような状態なら考えないといけないですけど、今日は特に問題なくできたかなという感じですね」
高田商・赤坂誠治監督
――当球場で試合をするにあたって対策は?
「いろいろ情報を聞いたりしました。本当は球場練習をしたかったんですけど、中間考査などもあり、その時間がなかなか取れなくて……先週、大阪の方に来ていたので、ここにも来させてもらいました。スタンドからではあるんですけど、球場見学をして、なんとか感覚をつかもうと。基本的には向こう(右翼)からの浜風なので、内野手はとにかくボールを追っかけようということを徹底して言っていました。グラウンドの状況はそんなに気にならなかったです。まあ、あのフライですね。フライの処理は一昨日、たまたまここと(ほぼ規模が)一緒の橿原市営球場を借りれたので、フライの練習をだいぶしました。今日はそこに関してはやるべきことはできたかなと。
――問題の風に関しては選手は対応できていたように見えた
「智辯学園戦の準決勝の時に間のフライとかをぽとっと落として、どんどん智辯学園さんに余裕を持たれて、走者が溜まったところでボーンといかれてっていう負け方だったので、今日はそれだけはやめとこうと。取れるアウトはしっかり取る、フライに関しては声かけの徹底、風のチェックというところをずっと言ってきたので、それは言っていただいてるようにできたかなと思います」
報徳学園・大角健二監督
――大阪の舞洲開催では2005年秋の神港学園以来18年ぶりの兵庫勢の勝利に関して。
「実は私が監督して初年度(2017年)もここで春は負けまして、部長の時(2011年秋)も履正社に初戦で負けまして……私も勝った記憶がなくて、それは生徒たちには一切、言わんとこうと(苦笑)周りには言わんとこうと、自分の中で収めとこうということで。もう、ずっと思ってて、呪縛が解けたかなっていう(苦笑)」
報徳学園・間木歩(投手)
――同じく大阪の舞洲開催では18年間、兵庫勢の勝利がなかったことに関して。
「見返してやるという気持ちでした」
報徳学園・橋本友樹(遊撃手)
――高校入学前、ここで守ったことは?
「あります。練習とかでも一回だけ」
――この球場、独特の風について。守る時はどんな意識を?
「やっぱり風が強いなって。そこ(風が止まったり、舞って方向が変わる)は内外野、話し合って、1球ごとに『風あるぞ』と声がけしていって、最後まで追うみたいな感じです。大体はわかるんですけど、(飛んでる最中も)風がどうなるかわからないので、全員が最後まで追って、落とした時もカバーし合うというような」
――兵庫の球場は内陸にある球場が多いが、ここまで強く吹く球場は甲子園以外にあるか?
「ないですね。プレー中、風っていうのはもちろん意識してるんですけど、(兵庫では)ここまで気にしたことはなかったです。兵庫では普通に吹くぐらいなので」
――グラウンドの土は?
「ちょっと悪いですかね。ふかふかで砂が多い。だから、今日もイレギュラーがあったりして……そこは姫路球場なんかはあんまりなかったですね」(この日の守備は無失策)
興国・喜多隆志監督
――鳴り物の応援がある中での試合となったが、選手たちに変化は?
「球場着いたときに『うわー、近畿大会やな』っていうような感じで、なんかこうワクワク感というか、そういうのは表情からも見えたので、思ったより落ち着いてプレーしてくれたのかなと思います」
――8回裏にはロッテ時代の応援歌が流れた
「ほんまですか?全然、聞こえませんでした(笑)」
ベンチにいるとスタンドからの音は聞こえづらいようです。
興国・熊谷直也投手
――いつもの大阪大会と違って鳴り物もあって、大阪大会の舞洲と近畿大会の舞洲で違いはあったのか
「やっぱり楽器とかは大阪大会とかなくて、新鮮な感じだったんですけど、それに呑み込まれるということはなかったです。試合に入ったらそこまで違いは感じなくて、冷静でいられたんですけど、グラウンドに入ってすぐとか、周り見渡した時とかは違いましたね」
近江・多賀章仁監督
――舞洲での秋季近畿大会は2011年、2017年に続いて3度目。風などの対策は?
「もう、あんまり意識しすぎるのもよくないですから。今日はレフトの森島(=海良・2年)がね。いいプレー、何回かしてくれてましたけどね。それこそ林(=優樹・現楽天)が1年の時、大阪桐蔭の藤原(=恭大・現ロッテ)君が先頭打者の時に『もう、いったかなー』という当たりが結局、ライトが拝み捕りして落としたことがあったんです。それぐらいの強風だったんです。初回の先頭打者の場面でなんか嵐みたいで。今日も(初回に)雨降ったでしょ。なんか、あの日のこと思い出しました。ああいう時雨みたいなのがある時はね、ライトからレフトへすごい強風が吹くんです」
――他に気になったことは?
「ちょっとベンチサイドがだいぶ外野寄りになってるのは、ベンチからの雰囲気、野球の見える雰囲気が全然違うんですよ。セカンドからファーストへのゲッツーの時の暴投なんかは一塁手が逸らすとベンチに入ります。甲子園だったらカメラマン席の位置関係ですよね。これが特に舞洲の場合はファウルグラウンドも広い、それとベンチの位置ですよね。これの方がやってる側の選手からしたら、ちょっと景色が違うかなって感じですよね。
それと屋根がないでしょ? あれもやっぱり他の球場にはないロケーションですよね。だから、太陽の位置で外野手はライナー性の打球追うの難しいんじゃないですか? ナイターなったら、どうなのかわからないですけどね」
田辺(和歌山)・田中格監督
――和歌山の紀三井寺球場も風が強い球場だが、ここはまた違った風が吹く
「それも皆さんからいろいろ聞いたんですけど……今日は無風で(笑)イレギュラーもありましたが、土は試合に影響したということはなかったですね」
――田高音頭が初回に流れた。それを近畿大会の舞台でも聞いてみて
「いや、ベンチにおると、なかなか聞こえないんですよ(笑)グラウンドに出ると、聞こえてくるんですけどね。田舎の特殊な応援で、バッターボックスに入るとこで勢いつけてくれるかなっていう。僕も現役がここなので、すごい独特な応援で送り出してくれるっていうね。52年ぶりなんで、OBもたくさん来て」
――試合前から選手たちには明らかに緊張が見られた。52年ぶりのプレッシャーもあった?
「いやー、たぶん、子どもたちにとっては見たことのないステージで……和歌山の田舎でずっとやってきた子らばかりなんでね」
京都国際・小牧憲継監督
――舞洲という球場で試合するにあたって、なにか注意すること、対策などは?
「やっぱり、風向きが時間によって変わっていったり、一定方向の風じゃないんで、レフト戻されたり、ライトも戻されたり……ですね。どっちかだけが伸びて戻されてとかいろいろあるんで。ただ、春の近畿大会でもやってますし、オープン戦等でもここは使わせていただいてます。中学時代から、ここで練習したり、試合したりしてる子も多かったので、その点ではアドバンテージがあったのかなと」
京都外大西・上羽功晃監督
――舞洲で試合をしたことは?
「前回、センバツに行ったときの近畿大会以来ですね。(対策は)大阪のチームの人に聞いたりとか、大会前に一回、練習させてもらいました」
取材時間終了のため、上羽監督はここで話を切り上げ。過去の実績を失念した質問で大変、失礼いたしました。
今回、以上の監督、選手に話を聞いてみました。中学や他のカテゴリーでもここは使用されることが多いので、何か参考になればなによりです。
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