大阪の公立校が大阪桐蔭、履正社の二強と戦うということ【山田高校編・後編】
前編では山田高校(以下、山田高)が2018年秋に履正社を8回までリードしながら逆転負けした一戦を振り返った。それから2年後の2020年。甲子園が春夏ともに中止となり、秋季大会も様々な制限がある未曾有の状況下で行われた。そんな大会で山田高は快進撃を見せる。
2018年秋の戦いから続く伏線となる出来事、大会を勝ちあがる中での不思議な感覚、そして履正社という全国を代表する強豪校に公立校が勝つためには自然体の重要性を説く山田高・金子恭平監督。その要因とはなにかを戦いを振り返りながら語ってくれた。

2020年に26年ぶりに公立校として近畿大会に出場した山田高。写真奥の左から2番目が金子恭平監督
◆2018年秋の惜敗が結んだ縁
2020年夏に行われた大阪の独自大会では初戦となる2回戦で太成学院大高に惜敗し、新チームがスタートした。
ところで前編では異様なアウェーの空気感を感じていたという金子監督だったが、その観客の中には近所の少年野球チームや中学生も数多く観戦していた。その中に当時の試合を見て、山田高への進学の決め手にしたのが地元の山田中に在籍し、後に1番遊撃手となる田村健吾だった。山田中は軟式の強豪で当時は2年連続で大阪軟式優勝野球大会を制していた。田村は優勝時の遊撃のレギュラーを務めており、エースには後に近大付でもエースを務める山田大聖(現・近畿大)などもいた。田村も私学でプレーしてもおかしくないほどの技術を持った選手だった。そんな田村を中心とした学年が最上級生となって迎えた2020年秋の大会だった。
初戦となった2回戦は桃山学院との対決だった。桃山学院の粘り強い野球に苦しむが、延長戦までもつれる点の取り合いを制してまずは初戦突破。続いて3回戦も私学の清教学園が相手だったが、その清教学園が出場辞退で不戦勝に。事情が事情なだけに手放しで喜べない4回戦進出だったが、3回戦と4回戦が連戦という日程だったため、公立校の山田高にとっては大きな不戦勝だった。実際、残暑が厳しい中、連戦となる4回戦で敗退した公立校は多かった。そんな中、山田高は4回戦で浪速にも勝利すると、周囲がざわつき始めた。
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