かるたーの大阪野球マガジン

【冬連訪問】山田高校 冬を乗り越えて、チーム一丸に

今回は大阪府吹田市にある山田高校を訪問。

万博記念公園の太陽の塔から約700mの場所にある大阪府立山田高校。公立校の中でも生徒数は多く、部活動も活発。中でも10団に分かれて行う体育祭と1団120人規模で行うダンスは圧巻と地元でも評判だ

2025年に大阪万博が予定されているが、山田高校(以下、山田高)は1970年に開催された万博記念公園にほど近い立地で、太陽の塔に一番近い高校と掲げるほどだ。2020年秋に履正社に勝利して、大阪3位という実績をあげてはいるが、実はそれ以外は目立った実績は少ない。ただ、少子化が進み、特に生徒数減少に悩む公立校が少なくない昨今でも全校生徒1000人を越えるマンモス校。部活動も活発で野球部は2学年で30人を越えている。そんな活気のある山田高のある冬の練習を取材しにいった。

取材日に山田高に到着したのは練習開始の約30分ほど前。やや広いけど、細長いグラウンドにサッカーに興じる生徒たちの明るく、元気のある声が響き渡っていた。おそらく、この日はサッカー部とグラウンドを共用する日なのだろう……

そう思っていたが、どう見ても野球のユニフォームである。おかしい、今日は野球部の取材に来たはずだ。

「彼ら、何も言わなかったら、ずっとやってますよ」

と、金子恭平監督が言うぐらい野球そっちのけでサッカーに打ち込んでいる。ただ、これはあくまでも練習開始前のアップを兼ねたもの。思えば、サッカーは下半身の強化、俊敏性を身につけるにはもってこいの競技である。下手に走りこむよりもゲーム性のあるアップをすることでメンタル面のウォーミングアップも期待できる。もちろん、時間は自分たちで考え、マネージャーが管理しているので、練習開始の時間になれば切り上げる。サッカーを終えた後、スイッチを切り替えた部員たちはもうひとつ、軽めのアップとキャッチボールをはじめる。ようやく野球部らしい練習の風景になってきた。

この日は朝の9時から昼の13時までの練習時間。しかもグラウンド全面使用可能という日だ。普段の週末はそんなことはなく、たまたま、サッカー部の大会と重なり、ソフトボール部も活動していないという年に何回かあるかどうかという日だ。

・アップ終了後にキャッチボール。

・ランダウンプレーの練習。まずは31組に分かれて行い、後半は内野のダイヤモンドを使用して、一、三塁からスクイズをはずした実戦を想定しての2パターン。

・ノック、バッティング、トレーニングと3班に分かれてそれぞれ練習。

バッティングは鳥かご内(4か所)で行う。

こちらはトレーニング。ウォ-ターバッグを抱えて、不安定な状態での走り込みで体幹を鍛える。

ノックは最初は内野と外野に分かれて、それぞれ練習。外野組のフライ練習は通称・青マシンを活用。

その間、投手陣は投球練習も行う。マウンドが3人分用意されたブルペンのスペースがある。

最後に実戦練習を行って、この日の練習は終了となる。実戦練習の模様は筆者の都合により、見ることができなかったので、この場では割愛させていただく。冬場の練習というと、体幹を鍛えるメニュー中心でボールはあまり使用しないイメージがある。ただ、この日はグラウンドが全面使用できる日というのもあってか、技術練習のメニューも詰め込まれていた。練習時間は4時間と長時間というほどではないが、普段の平日と比べれば倍の時間だ。

練習中、広々と使用しているグラウンドに時折、金子監督が拡声器を使用しての指示が飛ぶ。キャッチボールの終盤で塁間の距離になった時、

「思いっきり投げろ! エラーさせろ!」

という投げ手は相手に捕りやすいように投げるのが基本と教えられたキャッチボールにあるまじき指示が飛ぶ。だが、これはあえて低く強いハーフバウンドの送球を投げ込み、受け手は難しいバウンドを処理する。今や山田高の名物といっていいさばきというメニューだ。この日々のさばきが2020年の快進撃を生んだ。

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