かるたーの大阪野球マガジン

【あの高校球児に会いにいく】マツゲン箕島硬式野球部・松本佳高(初芝立命館高出身)、白瀧恵汰(履正社高出身)

久々の『あの日、大阪でプレーしていた高校球児に会いにいく』企画です。今回は和歌山県唯一の社会人クラブチーム・マツゲン箕島硬式野球部(以下、マツゲン)に所属する2人を紹介します。実はマツゲンには辻晃志(大冠高→天理大出身)、取材日に先発した山元魁人(浪速高→太成学院大)などもいるのですが、今回は松本佳高選手(初芝立命館高→日本体育大)と白瀧恵汰選手(履正社高→立命館大→ジェイファム)の二人にインタビュー。縁がなさそうだけど、実はちょっとした因縁と数奇な縁もある二人だったり。お互い社会人野球の選手としては2年目となる今シーズンの意気込みや高校時代の思い出話を少し語ってくれました。

◆実は高校時代に対決してる二人

現在、同じチームに所属している松本と白瀧。二人が辿ったこれまでの球歴は対照的だ。まず、白瀧は名門・履正社の出身で安田尚憲(ロッテ)らがいた下級生時から代打の切り札として活躍し、3年時には主に4番を担った。最後の夏の府大会では根尾昴(中日)、藤原恭大(ロッテ)らがいた最強世代の大阪桐蔭を最も苦しめた戦いは記憶に残ってる人もいることだろう。立命館大に進学後も1年春のリーグ戦からベンチ入りしていた。一方の松本は府内では強豪とされる初芝立命館だが、全国的には無名だ。そんなチームで白瀧のように主戦を張っていたわけではなく、どちらかというと当落線上の扱いの選手で最後の夏も背番号は18番だった。高校卒業後はこちらも強豪の日本体育大に進学するが、松本は一般入試での入学だった。大学でも遅咲きで4年春に初めてベンチ入りを果たすと、秋季リーグで多くの出番を得て、横浜市長杯ではマルチヒットと下剋上の活躍。努力を重ねて、ここまできたという選手の印象だ。

そんな二人は実は高校時代、2年秋の4回戦で対決している。結果的には履正社165初芝立命館と履正社が圧勝というスコアだった。しかし、実は前半までは初芝立命館がリードしており、終盤の猛攻で履正社が逆転し、大きく突き放した。特に7回表に3本塁打8得点のビッグイニングの攻撃が効いた。そして、反撃の狼煙となる同点の本塁打を放ったのが4番で出場していた白瀧だった。その一本をベンチから見ていた松本が語る。

「あの試合は7回まで僕らが勝ってたんですけど、こいつ(白瀧)のホームランで同点に追いつかれて(苦笑)その時まで白瀧の印象は根強くはなかったんですけど、あのホームランで目が覚めたというか、『とうとう、履正社が来たな』という一発でした。高校の同級生の中でも語り継がれてるホームランなんです」

2017年秋の4回戦の履正社×初芝立命館のスコア。

松本や当時のチームメイトの間でも履正社の強さを肌で感じた一発だった。その後も7回表だけで2本の本塁打が飛び出すのだが、「ここで打つのか……」という一発を打った白瀧という選手の存在は強烈だった。しかし、松本と白瀧の縁はそれだけでは終わらなかった。実は大学時代にマツゲンのセレクションを一緒に受けていたのだ。一緒にセレクションを受ける白瀧の姿を見た松本がその時の心境を語った。

「あの時、そういや『ホームラン打たれたな』って。実際、今は一緒にプレーしてるので、ちょっと不思議な感じですけど」

ただ、白瀧は大学卒業後は神奈川のジェイファムに進み、大学は関東だった松本はそのまま関西に戻ってきたが、その白瀧も所属チームの休部という事情もあり関西にUターン。関西でも数ある企業、クラブチームがある中、移籍先に選んだのがマツゲンなのだから、松本が「不思議な感じ」だと思うのも納得だ。その松本の口から出た自分の印象を聞いて白瀧はこう語る。

「僕も(高24回戦の本塁打は)印象には残ってるホームランの一つではあるんで、いざ、何年後かになって、またその話をして、覚えていてくれてたっていうのはうれしかったですね」

この後、述べるが、自分たちのやってきたことは決して無意味ではなかった。見る人によっては強烈に残るほどのプレーを見せていた。

2点ビハインドの7回に同点のツーランを放った履正社時代の白瀧

◆松本佳高の目標はズバリ都市対抗と全日本選手権!好投手対策は技術の引き出しをより多く

高校時代は名門校の4番で大学でも主力打者として活躍した白瀧に対し、高校、大学と最後の最後でベンチ入り、レギュラーをつかんだ松本だが、昨年は主に中軸を打つなど、主力打者として活躍。昨年はジェイファムで出場した白瀧と同じく、チームの全日本クラブ野球選手権出場にも貢献した。社会人2年目の今が伸び盛りなのかもしれない。その松本が2年目での自分の現在地について語る。

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