【高校野球】秋季大阪大会4回戦 千里青雲×興國 試合記事
9月28日に南港で行われた4回戦の第三試合をレポート。ランニングスコアは以下の結果に。
千里青雲
000100000 1
02002000X 4
興國
【バッテリー】
千里青雲:宮辻、柚木–加藤
興國:若林–大鶴
この日、南港で行われた3試合の内、唯一の公立勢の登場となった千里青雲と今春準優勝で2年連続の秋季近畿大会出場を狙う興國との対決となった。近年の安定した実績に加え、投打の軸が残っている興國に対し、千里青雲は大塚時代に3度の府8強入りを果たした室谷明夫監督が就任したとはいえ、スタメンには1年生が5人並ぶ若い布陣でチームの成熟度としては未知数。守備にこだわってチーム作りをしてくる興國に粘り強さで勝負するのも分が悪い中、千里青雲はどこまで食らいつけるかが個人的な試合前の見立てだった。
興國の先発は旧チームから登板経験のある左腕・若林獅童。立ち上がりはややボールが先行する場面もあったが、三者凡退に抑える上々の投球。一方の千里青雲の先発の1年生右腕の宮辻大空の立ち上がりは緊張した面持ちだったが、初回は無失点に抑える。しかし、2回裏に興國は5番山口凌翔の左翼線へ運ぶ安打、四球と内野ゴロの間の進塁により、2死二、三塁で9番益田大翔が中堅左寄りへ運ぶ適時打で興國がしぶとい攻撃で2点を先制する。しかし、千里青雲も4回表に2番上山拓郎、3番柚木優真の連打や四球で1死満塁のチャンスを作ると、6番網谷将海が二塁手の頭上を越える中前適時打で1点を返す。続く7番坂本爽祐が左翼線への飛球を放ち、それを左翼手がやや浅い位置だったが難しい体勢で捕球。それを見て、三塁走者は同点を狙ってスタートを切るが、ここは興國の守備陣が落ち着いて処理し、千里青雲は同点とはならず。

左翼線浅めの左飛で三塁走者の柚木は本塁生還を狙うも興國の守備陣は冷静に対処。捕手は大鶴彪太朗。
この1点差のままで試合を進めたい千里青雲だが、5回裏に興國は先頭の1番水長が第1打席に続き、俊足を生かして内野安打で出塁すると、2番林諒真も左安打で続く。犠打や四球で1死満塁で5番山口の当たりが併殺崩れと失策を誘い、二者が生還してしまう。興國の若林の投球の出来を考えると、千里青雲にとっては重たい2失点となった。前半で3点のリードを得た興國がこのまま優位を保って試合を進めるかに見えた。
しかし、中堅手としてスタメン出場し、二番手投手としてマウンドに上がった千里青雲・柚木が勝利へとひた走る興國に待ったをかける。柚木は旧チームから「ボールの力なら一番」と室谷監督が言うほどの自慢の速球と縦に割れるパワーカーブのようなボールで興國の打者たちを翻弄というよりねじ伏せていく。立ち上がりとなる6回裏を三者凡退に抑えると、7回、8回と走者を出しながらも無失点に抑えて、味方の反撃を待つ。

興國優位の試合展開で進み、劣勢に立たされていた千里青雲は二番手・柚木優真の力の投球で息を吹き返し、最後まで食らいついた
しかし、興國の若林は一度、つかんだ主導権は渡さないとこちらも千里青雲の打線を寄せ付けない危なげない投球で試合は淡々と進んでいく。8回表に連続四球でピンチは作るも三振で切り抜けるなど、要所では強く低めに伸びるストレートなど精度の高いボールを投げ込む。9回表は狙ったかのように連続三振で締めるなど、気が付けば千里青雲・柚木の投球に引っ張られるように6回以降は無安打投球。夏や旧チームからの経験を生かしたメリハリの利いた投球は9回を投げ切ってもまだ余力すら感じるものだった。

9回1失点、5安打8奪三振で完投した興國・若林獅童。要所で投げ込む伸びのあるストレートを軸とした精度の高い投球は大阪ではトップクラスの左腕
◆興國・喜多隆志監督「泥臭く、泥臭く、例年以上に」
ベンチから引き上げてきた興國の選手たちは勝利の余韻に浸ることなく、それぞれが明日への準備に余念がなかった。
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