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【高校野球】秋季大阪大会 3位決定戦、決勝戦の展望

10月13日に大阪シティ信用金庫スタジアム(以下、舞洲)にて、近畿大会をかけた3位決定戦と優勝をかけた決勝戦が行われる。すでに決勝進出を決めた2校は近畿大会の出場を決めているが、順位により組み合わせに影響が出る。

まずは前週に行われた準決勝の結果をまとめる。

10月6日 舞洲

準決勝

第一試合 大阪桐蔭 30 大阪学院大高

第二試合 履正社 86 近大付(延長10回タイブレーク)

大阪桐蔭は大阪学院大高(以下、大院大高)相手に春の雪辱を果たした。しかし、準々決勝まではすべてコールドゲームだったが、ここで初めて9イニングを戦った。さらに低反発の新基準バットもおかまいなしにノーバントで打ち勝つスタイルの大院大高のプレッシャーにさらされながらも粘り勝った。

第二試合はシーソーゲームの末、9回で決着つかず。10回表に突き放した履正社がタイブレークの激戦を制した。近大付は前日の準々決勝での初芝立命館との死闘に続き、履正社相手にも乱戦に持ち込んだ。中盤の6回で一気に逆転したが、そのリードを終盤で守り切れなかった。

そして、決勝と3位決定戦のカードは以下のようになった。

3位決定戦 大阪学院大高×近大付

決勝戦 大阪桐蔭×履正社

それぞれの展望を語ってみよう。

◆3位決定戦

この新チームは1年生主体ながら、相変わらずのノーバント&フルスイング野球を貫く大院大高。さらに準々決勝でノーヒットノーランを達成した山本凌青、旧チームでも登板のあった下條晃大と投手陣も安定している。大量得点で突き放すこともあれば、接戦にも強い。その点、近大付は準々決勝、準決勝とまとまった失点が目立ち、投手陣に不安が残る。一見、大院大高が有利に思えるが、ノーバントで攻撃が単調になることもあり、思うように得点ができない試合もある。その点、野手陣の個々の能力は近大付も劣っていない。打撃面は履正社相手にも乱打戦に持ち込めるほどの爆発力はある。守備面においては例年通りセンターラインを中心に堅実だ。エースの藤尾寛大が打たせて取る投球でバックに仕事をさせて、失点を最小限に抑えたい。大院大高としては序盤でビッグイニングを作って前半で勝負を決めたいところ。ただ、ロースコアか点の取り合いかはわからないが、1点を争うような接戦に持ち込めば手数の多さで近大付に分がある。

1年生ながら、準々決勝で本塁打を放った大院大高の4番樋爪信。力強く弧を描くスイングから放たれる打球は広い球場をものともしない

近大付の4番を打つ谷村虎太朗。5回戦以降、活発な打線の中心で準決勝の履正社戦でも2安打と活躍

◆決勝戦

やはり、まだまだ大阪二強の時代か。おなじみの対決となった。ただ、森陽樹、中野大虎の盤石の投手陣に加えて、ここ数年は不安定だったセンターラインが固まっている大阪桐蔭に対し、今秋の履正社は投打ともに絶対的な選手がおらず粒揃いだ。3年に一度ほど訪れる過渡期の世代かもしれない。また、履正社・多田晃監督も「去年ほど走れる選手はいない」と近年、力を入れている走塁も使いづらい。この秋ばかりは大阪桐蔭に有利な要素が揃いすぎているため、ワンサイドゲームになる可能性もある。ただ、履正社にとって幸いなのは投手も野手も状態が上向きの選手が多く、選手起用の選択肢も幅広く使えることだ。特に準決勝では2本の本塁打が出るなど、パワーも発揮している。旧チームから二遊間を組む辻琉沙と矢野塁は攻守だけでなく、マウンドにも上がるチームの中心。彼らの起用法も鍵となりそうで、総力戦で食らいつけるか。大阪二強による決勝戦らしい試合展開になることを期待したい。

積極的なプレースタイルが魅力の履正社・矢野塁。この秋は1番遊撃手だけでなく、強肩を生かしてマウンドにも上がる。

来年のドラフト上位候補にもあがる大阪桐蔭・森陽樹。果たして、履正社相手に登板はあるのか?

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