華麗な守備のプレミア12戦士を生み出した指導の極意② “選手の可能性を広げる”固定観念にとらわれない選手の適切なポジションの見つけ方
前回の①では千里青雲の室谷明夫監督に内野守備を向上させるためのノックの技術について語っていただいた。前回に続いて語ってもうらのは選手のポジションについて。特に内野手向きの選手はどういう選手なのかを指導経験から語ってもらった。なぜ、このテーマを聞いてみたのかというと、大塚高の監督時代には意外ともいえるコンバートを実施していたからだ。
たとえば、1年夏から遊撃手だった村林一輝(現楽天)の投手転向などが代表例だが、能力の高い選手が投手をやることが多い日本では野手が投手を兼任するというのはごくありふれた話だ。ただ、村林の世代のチームでは主力メンバーでは他に夏の大会を前にして、外野手・玉城慶悟と三塁手・戸松龍一郎のポジションを入れ替えた。さらに大胆なコンバートといえるのが中学までは外野手で2年生(学年は当時)の幡雄輝を村林がマウンドにいる間は不在の遊撃手に抜擢したのだ。また、主将を務めていた正捕手の堺原仁輝ももともとは内野手だった。今回は内野手(一、二、三、遊撃)に限った話のため、堺原の話は割愛するが、このような大幅なコンバートは新チーム結成時や秋季大会終了後ならば、ありえるかもしれない。しかし、夏の大会まで期間が少ない春季大会終了後に行うのはリスクが高い。また、基本的に高校までいけば、小学校時代からやり慣れたポジションのままで過ごす選手や選手の意志を尊重してポジションを決める指導者も多い。ただ、室谷監督は様々なコンバートに関しては部員一人ひとりの体格や特徴などを総合的に考慮し可能性を広げさせる、また選手に安泰と思わせないようにといった意図があったと以前に聞いたことがある。ただ、その守備位置にした理由やどこを見てそのような判断をした中身を聞いたことがなかった。特に玉城と幡の二人に関しては外野手から内野手と一見、難しいコンバートに思える。内野手に向いてる選手や必要なものとは何かを語ってもらった。

室谷監督が大塚高の監督をしていた時は背番号と守備位置が一致しないというケースがよく見られた。大会直前に大胆なコンバートを行うことも。
◆内野手向きの選手は短足であること
様々なコンバートをした理由を語る前に室谷監督の持論として内野手に必須な条件は短足かつ腕が長い体型であるということだ。実は村林もこのような体型である。ファンからは足も長くスラリとしてて、スタイルがいいという声もあるが、どちらかというと腕が長い胴長体型である。
では、なぜ短足で腕が長い体型の方が内野手をやるにあたってメリットがあるのだろうか。
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