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華麗な守備のプレミア12戦士を生み出した指導の極意③ 恩師が語る村林の守備 注目されるルーキー宗山との差は?

ここまで、前々回の①前回の②と室谷明夫監督に内野守備向上のためのノックの仕方、内野手向きの選手について語ってもらったが、最後となる今回は大塚高時代の教え子である村林一輝の守備について語る。村林の華麗な守備に関してはパ・リーグのYoutubeチャンネルや、守備の指標などは各種データサイトなどで見ることができる。しかし、そのプレーや数字を生み出す守備の技術論に関してはあまり見られないのではないだろうか。あくまでも室谷監督の視点ではあるが、村林の持ち味を生み出す強みや特徴、高校時代とプロ入りしてからの違い、2024年ドラフト指名されたある選手についても語ってもらった。

ピンチでマウンド上の投手へ声をかけに行く村林一輝。ベテラン、新人問わず、このような光景はしきりに見られ、2024年にチームの野手キャプテンを務めた浅村栄斗も次の候補として名をあげていた。

◆「彼、見えてるよね?」当時の担当スカウトが語った村林の判断能力

前々回の記事①で打球を取る形よりも簡単に取れるバウンドに入れることの方が大事という話の際に村林はそのバウンドの位置を見定める判断に優れていたのは先述の通り。では、なぜ村林はその判断に優れているのかを室谷監督が語る。

「村林がすごいと思うのは打った瞬間のスイングから(バットに)ボールがどう入って、バウンドの一発目が地面につく瞬間のところで、もう絵が見えているんです。予測や予知じゃないんですけど、その先の絵が見えてるから、一歩目が早くて、なんでもないような感じで取るというか、簡単に見えるようなところで取るための判断に長けてるんだと思います」

村林はイレギュラーバウンドへの対応も見事だが、それ以前に先の絵が見えていることでイレギュラーになりづらい位置に入ることができる。送球しやすい位置に入ることで守備も安定感がある。この村林の優れた判断力に気づいたのはスカウトが練習を視察に来た時にノックを打った時のことだった。遊撃と二塁にそれぞれ就いたうえで交互にノックを受けている村林を見て、そのスカウトがこう口を開いたのである。

「彼、見えてるよね?」

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