電通カップ2025 3年目で生まれた慣れと熱気と成果
先日、紹介した大阪電通大高が取り組む部内リーグ戦・電通カップ。1月12日に今回の全日程が終了し、結果はチーム橋本の優勝となった。今回も出場した選手に話を聞いたので、その声を紹介する。
高校生世代以下の選手が木製バットでプレーをすることに関してはなかなか興味深いことが聞けるが、今回は打者だけでなく、投手視点でも語ったもらった。まずはその投手である須田翔太(3年)の話を聞いてみた。
◆須田翔太「今日は相手が大学生だと思って」憧れの先輩を目標に大学球界へ
須田は昨年の夏にエースナンバーを背負った投手だ。昨年の電通カップで見た時も角度のある力強い球を投げていたのが印象に残っている。この日も2回途中から二死満塁のピンチで登板。無失点に抑えて、その後も持ち味の力強い投球で相手に主導権を渡さなかった。
さて、岡野穂高監督が「宇宙人」と評する須田という人物。その須田に木製バットを使った打者を相手にした場合の投手心理というのを聞くと、春には大学野球を控える投手ならではの答えが返ってきた。
「やっぱり、大学野球は木製バットで(打者の)レベルも高く、コースを投げ分けないと抑えられない。もうすぐ寮生活も始まるので、今日は相手が大学生だと思って、そこを意識して投げました」
昨年までは特に何も意識せずに投げていたとのことだが、昨秋の神宮大会4強入りの強豪・天理大への入学と入寮を間近に控え、練習への合流の日も近い今年は今までと違った意識で臨んでいた。また、年明け早々に大学1、2年生の卒業生が集まってのOB戦があったのだが、今も大学で現役を続ける先輩たちの姿を見る機会があったことで、そのイメージが鮮明になっていたのもあるだろう。球速は昨年の段階で最速143キロを投げる本格派だが、球にバラつきがあり、なかなか投球内容が安定しなかったのが課題だった。この日も6回までは無失点に抑えたものの、途中でボールが先行して、走者を溜めてピンチを招く場面があった。しかし、天理大への進学が決まったことで「周りの人よりも人一倍練習しないとついていけない」と引退後も練習とトレーニングを続けていた須田は要所で抑える術を身に付け、現役時よりも投球に磨きがかかっていた。今回のボール先行の場面も球がバラついたというよりはコースを狙いに行って外れたというケースが多く、制球面の成長も見せている。体重も3、4キロほど増えたといい、体幹の強さに加え、おそらく球速も昨年の143キロよりアップしていることだろう。
そして、大学ではどういう投手になりたいかを聞いてみた。
「やっぱり的場さんが天理大学で活躍されてるのを見て、まずは(リーグ戦の)試合で投げれる投手になるのと、いずれは的場さんみたいな投手になりたいです」
やはり、目標と憧れの存在が同じ投手で高校の先輩でもある的場吏玖だ。もはや、強豪大のエースに留まらない世代屈指の大学生右腕の呼び声も出つつある的場の存在は偉大かつ壁も高い。しかし、あえて、その壁を破り、憧れに近づくため、すべての技術を引き上げている最中だ。
最後の7回に後輩の高橋蒼空にランニング本塁打を浴びて、1点差に迫られたときはさすがに「少し焦りました」と動揺はしたものの、そこは現役生に元エースの意地を見せて、リードを最後まで守り切った。
岡野監督が宇宙人と評する須田はたしかに口数は少ないが、言葉の節々には芯の強さが感じられる。引退後も地道に技術と身体能力を引き上げてきた少しずつ得たものと3年間の成果を引っさげて、大学球界へ飛び込む。

力強いストレートを軸とした投球が持ち味の須田翔太。大学でもその投球に磨きをかけ、熾烈な競争を勝ち抜きたい
◆貫録の打撃を見せた小園力駆「低反発の方が自分には合っていた」
次に話を聞いたのが須田と同じく3年生の小園力駆。昨年の電通カップの記事でも話を聞いたが、
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