【オフトレ2025】原点回帰で私学の壁を越えて大阪8強へ 千里青雲
今年も千里青雲の冬練を訪問。昨年は雨の影響もあり、校内でのトレーニングメニューの紹介だったが、今年はグラウンドでの様子をお伝えする。ただし、取材当日は午前中は打撃練習、午後は紅白戦と冬の練習の模様よりも取り組みの途中経過のようなレポートとなる。昨秋は4回戦まで進出し、今年の春は夏のシード獲得圏内の5回戦進出も射程圏に入った。

千里青雲高校の校門前の坂。アップやダウンにちょうどいいとか…
1月某日、豊中市にある千里青雲高校を訪れた。この日は先述のように昼から紅白戦を行った。昨年は20人に満たない部員数だったが、昨春は多くの新入部員が入ったこともあり、このような紅白戦などの実戦形式の練習も行えるようになった。変わったのは部員数だけではない。グラウンドには黒土が敷かれ、周囲には人工芝のスペースも設置された。これらの敷設作業を主に行った野津章弘部長の伝手で知り合いから譲り受け、試験前や期間中に整備をした。また、取材当日も三塁側ベンチの屋根を製作。普段もランドカーを動かし、グラウンド整備を効率的に行っている。もともと、公式戦の会場になるぐらい公立校にしては広く、立派なグラウンド環境だが、野津部長が整備したことで格段にグラウンド環境も向上した。室谷明夫監督も「黒土で指導するのは初めてなんです」と選手だけでなく、指導者側もそのグラウンド環境にモチベーションを高めている。特に人工芝の設置は雨上がりの日に効果を発揮しそうだ。

脚立に上って三塁ベンチの屋根の設置作業をしている野津章弘部長。完成すれば、3月からの練習試合でも活躍することだろう。

昨年の12月頃に敷設された人工芝のスペース。
さて、この新生・千里青雲グラウンドにて行われた紅白戦は1班、2班というチーム名に分けられ、各チーム打者11人、11イニング制という特殊ルール。
「この冬のトレーニングは過去一番で上手くいってるかもしれません」
紅白戦のプレイボール前、室谷監督がそのように言った矢先だった。先頭打者の上山拓郎が左越えのソロ本塁打を放った。昨秋の正遊撃手の選手だが、この日は肩のケガもあり、大事を取って守備には就かず、両チームで指名打者として出場していた。しかし、そんなケガの影響を感じさせない先制パンチだった。この一発に動揺したか、先発投手の制球が安定せず、序盤から乱れた試合展開となったが、それ以上に全体的に打者陣が振れている。
「去年は大塚でやってきたことは一旦リセットして、様々な打撃の取り組み(縦振りなど)をしましたが、今年は原点回帰といいますか、体重移動でボールをぶつける形にしました」
以前に室谷監督にはノックや守備論について語っていただいたが、守備だけでなく、フィジカル強化にも力を入れ、それに連動して一から学び直したという体の構造や動かし方、打撃論にも磨きをかけた。特にこの冬はその成果がよく表れているのは試合を見ていても感じる。レギュラーだけでなく、控え部員の成長も著しい。以前までは速球に力負けして逆方向にしか飛ばなかったが、引っ張って外野に強い打球を飛ばせるようになった打者などの活躍も印象的な紅白戦だった。
試合は序盤の大量リードもあり、1班が大差で勝利となったが、2班もあと一本や効果的な一本がなかっただけで打撃面でそん色はない。打撃陣には一定の手ごたえを得た一方で投手陣は波が激しい面がうかがえた。この辺りを春までにどこまで煮詰めていけるか。昨秋以上の躍進を狙うにはまだまだ課題ややることはたくさんありそうだ。

昨年の10月頃に内野のスペースには黒土を搬入。そこでケージを3つ使用して、打撃練習を行う千里青雲の選手たち。(写真は2024年10月撮影のもの)
◆チームの目標は変わらず大阪8強!主将の藤本鉄平「言うのは簡単。間違いなく高い目標。そのためには……」
ここからは部員自身に冬の取り組みについて語ってもらう。まずはチームを率いる主将の藤本鉄平に話を伺った。この冬の取り組みの手ごたえについては、
「今日の紅白戦でも(成果は)けっこう感じてます」
と言うぐらいには上手く行っている部分はあるようだ。しかし、昨秋の戦いを振り返ると、厳しい表情になった。
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