かるたーの大阪野球マガジン

【オフトレ2025】全員両打軍団の佐野高校の冬の練習に密着! 土台づくりを終えて、夏の躍進へ(後編)

前編は週末の練習の模様について、ざっと紹介させていただいたが、後編ではチームを率いる藤井朋樹監督に全員両打ちのチームを作るきっかけやルーツ、一部、選手による秋の戦いの振り返りと今春以降の目標や意気込みについて語っていただく。

◆全員両打ち軍団形成のきっかけ 藤井朋樹監督「みんなで勝ち上がって野球をするため」

続いて、2月現在、このチームを率いる藤井監督にチーム作りについて話を伺った。

藤井監督は現在は大阪府の公立校の教員だが、出身は広島県で広島電機大学附属高校(現・広島国際学院高)から高知大という経歴だ。大学院に進んだが、大阪府の教員に採用されたため、1年で単位のみ取得して中退。そこから大阪で教員、指導者生活をスタートさせた。ちなみに佐野高には一度、2004年から4年間赴任していたが、別の高校へ異動の後にもう一度、赴任するというかなり珍しい異動歴で現在に至っている。当初は極端に部員が少ないというほどではなかったが、1学年に10人前後という年がほとんど。まだ、部員数減少が問題になる前は他校と比べれば少ない部類の野球部だった。その時代の名残として今も本入部の1年生全員に渡しているのが通称・契約バットと呼ばれる竹バット。ペッパーやティーバッティング時の練習の写真でも部員が使用している姿を見てもわかるようにただの記念品ではなく、実用品となるものだ。これだけ手厚くすれば、「なかなか辞めないだろう」という藤井監督の思惑通り、退部者は非常に少ないという。

バックネット裏後方に並ぶ道具や用具類。特に竹バットは入部した全員に送り、打撃練習では部員たちはこのバットを用いて練習する。

そして、誰もが気になるのがなぜ全員両打ち軍団という発想に至ったのかということだろう。それに対して、藤井監督は単刀直入に、

「試合に勝ちたいからです」

と答えた。さらに藤井監督が続ける。

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