かるたーの大阪野球マガジン

大阪勢不在だったセンバツに思う(上) 大阪は低迷している?

今年も春のセンバツが行われ、横浜高校の19年ぶりの優勝で幕を閉じた。

大会前、珍事というべきか。兵庫と同じく甲子園の地元といっていい大阪勢が不在という98年ぶりの大会となった。これまで2003年を除けば、ほぼ当確ランプが灯った形での出場で近畿勢の中でも安定した戦いぶりを誇っていた。ところが昨秋の近畿大会では履正社が滋賀短大付に、大阪桐蔭が滋賀学園とこれまで大阪どころか全国を引っ張ってきた大阪二強が滋賀勢にそれぞれ初戦敗退。大院大高は8強入りしたものの、2試合で1得点、大阪3位という戦績が滋賀勢2校に劣るという理由が選考から漏れた要因の一つとなった。ましてや、本番のセンバツではその滋賀勢2校が初戦敗退したため、現在の大阪の地区レベルが疑問視される形となった。実際、大阪の現在地はどうなのだろうか。

結論から言えば、大阪勢は著しく低迷したとはいえない。大阪桐蔭、履正社も夏に盛り返す力は十分ある。そもそも、チームの移り変わりが激しい高校野球において、いくら地区レベルが高くても安定的に強さを維持することは難しい。他地区を見ても、昨秋の神宮優勝校でセンバツを制した横浜、4強の埼玉・浦和実、8強の福岡・西日本短大付といった激戦区の高校が不在というセンバツは近年でもそこそこある。逆に言えば、98年間、センバツにずっと出場していたこれまでが異常だったといえるだろう。これが何年も続くなら別だが、今年、センバツに大阪勢が不在だから、大阪は低迷したと考えるのは早計だ。では、近畿勢のレベルが下がったのかというと、去年は報徳学園が2年連続、今年は智辯和歌山が準優勝、昨夏は京都国際が全国制覇を果たすなど、甲子園でも結果を残していることから一概にそうとも言えないだろう。また、滋賀学園の山口達也監督が言われていたように以前の滋賀は近畿のお荷物と呼ばれた時代もあったが、それも薄れつつある。また近畿だけでなく、全国的にも実力の格差が小さくなっており、激戦区でハイレベルだから、全国を勝ち抜くよりも難しいという時代でもなくなった。おそらく、2002年秋のように大阪勢が近畿大会ですべて初戦敗退というケースも近い将来、出てくる可能性は決して0ではないだろう。

ただ、近畿や全国との格差が縮まった一方で、大阪府内の格差は広がっている。

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