九ベ! ——九州ベースボール——

「今まで経験した中で一番苦しい夏だった」 神村学園・小田大介監督①

大会直前の「リモート練習」

━━とくに甲子園の岡山学芸館戦で先発完投するなど活躍した早瀬投手が、今村投手不在の間に台頭し、チームの大きな力になりました。
「九州大会とNHK旗はほとんど早瀬で行きました。結果的に、こちらの思惑どおりに彼もちゃんと力を付けてくれましたよね。2年生戦力でいうと、経験豊富な今岡拓夢と入来田華月はいますが、ピッチャーとキャッチャーをある程度は作っておかないといけないと思っていました。そういう意味もあって、ピッチャーなら早瀬や窪田瑶、キャッチャーは山本瞬の出場機会を増やしていったのです。彼らの頑張りもあって、そこそこは戦えるイメージを掴めていました」

━━準優勝に終わった九州大会では、今後を見越した選手起用も目立ちましたね。
「もちろん優勝を目指しましたが、何より決勝まで4試合を戦いたかったですね。経験値の足りない子に経験を積ませたかったし、チームに刺激を与える良い機会ですから。三塁手の岩下吏玖をファーストで使ってみたり、本職はセンターの入来田をサードに置いてみたり、いろんなやり繰りをしました。変えなかったのは4番の正林だけです」

━━夏直前の6月中旬を過ぎて、故障者も続々と復帰。万全の戦力が整ったうえでの鹿児島大会だったのですか?
「じつは鹿児島大会の直前に、私がコロナに感染してしまい1週間チームを離脱するという事態に陥っていました。復帰したのは初戦の鹿児島商戦2日前です。ただ、やっと今村が戻り、正林が戻ってきたと思ったところで、今度は監督が離脱ですからね。だから、チームとしては決して万全の状態で夏を迎えたわけではなかったのです。チームを離れている間も、コーチにお願いしてZoomで練習をリモートチェックしていました。おかげで大会序盤は勝負勘が鈍っていましたね。全員が揃うこと自体が久しぶりだったので、選手も妙にぎこちないんですよ。ただでさえ難しい大会の初戦なのに、チームはそんな状態ですから。でも、その中で選手たちは本当によく頑張ってくれたと思います」

つづく

前のページ

1 2
« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ