父は阪神・田中秀太コーチ 次男・彪斗が沖縄で夢見る甲子園の舞台
「これまでは親に助けてもらってばかりだったので、親元を離れて挑戦したい。やるからには強いチームで」
という強い決意を胸に、生まれ育った兵庫県芦屋市を飛び出した田中彪斗。進学先に選んだのは沖縄尚学。言うまでもなく、過去センバツ優勝2度を誇る、全国的名門である。
なぜ沖縄だったのか?
「小さな頃から父と一緒に何度かキャンプに来ていたので、もともと沖縄には好印象がありました」
父とは、現在は阪神の1軍内野守備走塁コーチを務める田中秀太氏。つまり、田中は九州地区担当スカウトだった父に連れられ、春の宜野座をたびたび訪れていたのだった。
幼い日に訪れた、家族にとっての思い出の地。そのうえ、沖縄尚学は中学時代の先輩ふたりが所属していたチームでもある。したがって、田中にとっての沖尚進学は必然の流れだったと言っていいだろう。
小学校・中学校と父と同じショートを守った。高校では内外野を守れるユーティリティ性を買われ、2年秋の九州大会では背番号19を付けてベンチ入り。公式戦の出場はゼロに終わったが、三塁ベースコーチャーとして2年ぶりの九州大会優勝に貢献している。
今春のセンバツ出場が決まったあたりから、田中の成長を認める比嘉公也監督の発言が目に付くようになってきた。
「力を付けてきている。どこでも守れる器用さがあるので、貪欲に出番を掴み獲りに行ってほしい」
幼少期は、スカウトとして九州に駐在していた父がシーズンオフに帰ってくると、ひたすらキャッチボールの大切さを叩き込まれたという。
「送球での足の使い方、体の使い方を教えてもらいました。ここへ来て、その成果を感じることがあります」
と、田中自身も手応えを感じはじめている様子だ。
秋のようにベースコーチャーを任されることになれば、父と同じ甲子園の三塁コーチャーズボックスに立つことになる。とは言っても、スタメン出場を諦めているわけではない。
「目標は、守りが上手で、少ない出場機会でも好プレーでチームを救う小幡竜平さん(阪神)。小幡さんのように取れるアウトを確実に取って、チームに安心感をもたらしたいです」
父は1994年春に熊本工で出場し、プロでは本拠地とした甲子園。逆転スタメンを狙う息子・彪斗が放つ「青春の覇気」に期待したい。
田中 彪斗
たなか・あやと
沖縄尚学 内野手 3年※新学年
174㌢、63㌔、右投左打
2008年2月27日、兵庫県芦屋市生まれ
芦屋市立山手中(関メディベースボール学院ヤング)
50m走:6秒5、遠投:95m
好きなプロ野球チーム:阪神
好きなプロ野球選手:小幡竜平(阪神)
尊敬する人物:福留孝介(元阪神)