野球選手なら誰もが羨むフィジカル 大学日本代表候補が挑むラストシーズン━━栗山雅也(西南学院大)
190㌢、90㌔の巨体は、研ぎ澄まされた身体能力の結晶だ。大学通算11本の長打力だけでなく、遠投100mの強肩、50m6・1秒の快脚を兼備。前へ前へと突き進んでいく推進力は、ド迫力のひと言に尽きる。
東福岡3年時に春の九州大会に出場し、西南学院大では1年春からベンチ入りし出場機会を掴んだ。3年秋には目標としたシーズン4本塁打を達成、九州六大学リーグの本塁打王にも輝いている。もっとも自信があると言う長打力を中心に成長を続け、昨年12月には大学日本代表の候補合宿にも招集された。
しかし、自信を持って臨んだ合宿で、栗山は現実の厳しさを痛感することとなる。
「みんな同じプロ志望の選手ばかり。守備や走塁では課題が見つかりました」
地肩の強さに自信はあったが、代表クラスでは「単に強い」だけの肩では生き残っていけない。シートノックでは外野からストライク送球を繰り返す他の選手に対し、栗山の送球は何度も送球ラインを逸れていった。
昨秋は19四死球という厳しいマークを受ける中で、リーグトップの4本塁打、チームトップの10打点を挙げたが、打率・310は決して本人が納得できる数字ではない。こうした大小のプレーすべてにおいて、栗山は精度の向上を誓い、厳しい冬を越した。
主将を務める栗山は「勝ちきる」というスローガンのもと、チームを鼓舞し続けている。厳しいシーソーゲームとなった久留米大との今季開幕節でも、慌てることなく味方を鼓舞し続け、チームを連勝スタートへと導いた。こうした献身的な姿も、人間的成長を感じさせる部分だ。
「自分の体の特徴を最大限に活かしてベストを尽くす」と語る栗山。野球選手なら誰もが羨むフィジカルの強さを誇る大器が、はっきりと今季の目標を口にした。
「プロに行きたいので、そのためにも神宮の舞台に立ちたいです」
狙うは全国切符とドラフト指名の両獲りだ。今の栗山なら、決して遠い夢ではないのかもしれない。
◆栗山 雅也
くりやま・まさや
西南学院大 外野手(東福岡)
190㌢、90㌔、右投左打
2003年10月8日、大分県日田市生まれ
光岡小1年時に兄の影響で日田ジュニアスポーツ少年団に入団し野球を始める。5年時に県3位で高野山大会に出場し、同年秋の新人戦では県準優勝で敢闘賞を受賞した。三隈中時代は日田ボーイズに所属。東福岡では3年春に県3位で九州大会出場。大学通算11本塁打、50m6秒1、遠投100m、大学日本代表候補