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【コラム】高校野球北信越大会 県勢4強を前に敗退

長野県開催の高校野球北信越大会は、2回戦までに県勢4校すべてが敗れた。これで来春のセンバツ出場は厳しい状況となった。特に第1代表の松商学園、第2代表の東京都市大塩尻は組み合わせ、勝ち上がり的に準決勝進出の可能性は高いと思われたが、県外勢はしたたかだった。

県1位の松商は、1回戦で新潟3位の帝京長岡に苦しんだが3-2で振り切った。帝京エースの茨木は前評判通り非常にいい投手だった。この試合で栗原は15三振(被安打7)を奪ったが159球を投じた。

連戦の2回戦は、石川2位の小松大谷が相手。夏の甲子園に出場した選手が野手、投手に数人残っている。松商は、栗原がリリーフで控え、1年生左腕の大塚か齋藤が先発すると見ていたが、志願した栗原が先発した。

松商は石田の3ランなどで2回までに4点先取。一方的な展開も予想されたが、3回に風による不運な当たりもあって5安打で3点をかえされると、4回にはこれまで見たことのないような内野の乱れもあり3失点。逆転された。

栗原は全体にボールが高く、前日より球速が数㌔落ちており、そこを小松打線が逃さなかった。特に3番北村捕手には3安打、5打点と走者を置いてからことごとくやられた。

松商も懸命に追いかけたが、2番手の南に6回以降は散発2安打無得点に抑えられ、6-8で敗れた。南は137㌔は出ていたが、オーソドックスな右のオーバー。しっかりインサイドを突き、変化球を決め球に要所で5つの三振を奪い、松商の反撃機をそいだ。

エース栗原は、三振を取れるボールを持っているが、一方でクリーンヒットされる場面も目についた。県大会でもそうした傾向が出ていた。相当研究され変化球対策も各チームが当然行っているが、夏からの疲れが抜けているか、心配に思えた。

打線は2試合で14安打とやや寂しかった。地区予選から強力打線のイメージが強かったが、県大会に入り相手投手のレベルが上がってくると、とらえきれない場面が増えた。あらためて振り負けないところから強化が必要と感じた。

↓ 小松大谷に敗れ引きあげる松商ナイン

都市大は1回戦で警戒された石川3位の遊学館に12―4で快勝。2回戦は初戦で福井1位の福井工大に競り勝ったとは言え、富山3位で〝公立〟の富山商が相手。都市大優位と思ったが、工大を破った力はダテではなかった。

富商の前田―髙田のバッテリーが素晴らしかった。高岡商とともに富山球界を引っ張ってきた伝統校。他県で言えば私立に行くようなレベルの選手も集まってくる。

エース前田は前日、先発で121球投げている。身長169㌢のオーソドックスな右オーバーで、諏訪湖スタジアムには球速表示がないため、印象的には行って130㌔ぐらいだろうか。それでも強気にインコースを攻め、奪った三振はわずか3のように打たせて取っていった。

都市大は2本の長打を絡め得点したが、いずれも富商のミスで適時打は出なかった。

さらに想定外だったのが、自慢の機動力を封じられたこと。前田は右投げだが、非常にけん制が速い。1回に一走が刺されたのに続き、4回には二走も刺されている。

それもあり都市大は盗塁をなかなか仕掛けられなかった。終盤の8、9回に勝負をかけたが、いずれも二塁でアウトとなった。

もともと打ち砕く打線でなく、機動力で好機を広げてきただけに手詰まり感が出た。長打2本を含め7安打。打って劣勢を打破する力が必要になってくる。

エースの前田は4番で4安打。捕手の髙田は5番(無安打)。バッテリーが投打で軸になっている典型的なカラーだ。

都市大エース今野は、3失点した5回が悔やまれる。長打2本を含め5安打を集中された。

前日に76球を投げたが、富商戦は6回1/3で12安打を浴びた。1四球はさすがだが、6番以降に3長打、5安打された配球は課題を残した。

↓ 富山商の校歌を聞く都市大ナイン

県3位の東海大諏訪は1回戦で宿敵星稜(石川1位)を追い詰めながら、4-5で逆転サヨナラ負け。継投で勝ってきた東海だが、先発の吉澤が好投していただけに替え時が難しかった。

東海が与えた四死球は6つ。5失点のうち3失点は四死球で出した走者だっただけに、改善ポイントになる。

一方、7安打の東海も10の四死球をもらったことを考えると、もう一押ししたかった。力で押してくる星稜投手陣に、振り負けない力が求められる。

東海が北信越で連敗した奥川(現ヤクルト)の在籍時よりスケール感は劣るが、登板した3投手とも球威があり、1番の永井や4番の若狭らスイング力がある選手が多いのはさすがだ。

県4位の長野日大は、1回戦で新潟1位の北越に3-13で5回コールド負け。長打攻勢で4回表は3-2と逆転し見せ場はつくったが、その裏の8失点が痛かった。単打、単打でつながれ、ミスも絡んでの大量失点となった。

県大会から投手力には不安が残っていた。昨年秋も同様に投手陣に苦しんだが、一冬越えた成長で、この春、夏の躍進につながった。今季は3大会とも4強以上に残る安定した成績を残した日大。打力はあるだけに、さらに上位を狙うには投手の奮起が不可欠になる。

これで来季に向けて県内全チームが横一線になった。県大会まで松商が頭一つ抜けている印象があったが、まだまだ課題やもろさを抱えているだけに、どのチームも大きな差はない。投手は強いボールを投げることはもちろん、きっちり内に放れる制球力、打者は速いボールに振り負けないスイング力を身に着けてほしい。

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