【トピックス】松本国際高の野球部員、ラグビー部の助っ人で北信越へ
2月8日に福井県で開幕する高校ラグビーの北信越新人大会に出場する松本国際のラグビー部は、部員不足のため野球部から助っ人6人を借りて臨む。部員不足から助っ人を借りて出場する野球部は珍しくなくなっているが、野球部が他の部活に「貸す」のはまだレアなケースと言える。まして身体接触があるラグビーだが、野球部の坂田精二郎監督は「けがの心配以外、メリットしかない」と快く送り出している。
↓ ヘッドギアを着けて野球部のユニホームのままラグビー部の練習に合流
野球部の隣のグラウンドで練習しているラグビー部は1、2年生部員で12人。けが人もいて、野球部から助っ人6人を借りて臨んだ1月12日の県大会準決勝(シードのため準決勝が初戦)で岡谷工に51―12で大勝し、北信越大会出場(2校)を決めた。19日の決勝では飯田OIDE長姫に7―38で敗れ2位通過となった。
ラグビー部から野球部に助っ人の打診があったのは昨年12月中旬ごろ。ラグビー部の依田和也監督から「部員が多く、体力のある野球部に協力してほしい」と、依頼された坂田監督は1年生から希望者を募った。
追加招集を含め6人が手を上げ、保護者の承諾を得て週末3日ほどの練習から参加している。坂田監督は「野球部は野球だけという時代ではなく、柔軟に対応したい」と全面協力した。
↓ 実戦練習に加わる野球部員
三澤桜介内野手、長田涼羽投手、三枝拳和外野手、有山昂広内野手、村橋陸仁内野手、村上成仁捕手の6人が、「面白そう」「1回勝てば北信越に行ける」などと希望。有山だけが小学生のとき少しラグビー経験があるが、それ以外はルールも知らない「素人」と言っていい。
「最低限のルールとやってはいけないことを伝え、とにかく無理なくけがをしないようにやってもらっている」と依田監督。野球部員たちはウイングやフォワードのポジションに入るが、難しいパス出しなどには絡まないで済むように依田監督は「何とかなるところで十分」と、無理強いしない。
↑ ↓ タックルに行ったり、タックルされたりする野球部員
それでもフォワードはスクラムを組んだり、ときにはタックルされることもあったりする。三枝は「タックルは面白いが、されると痛いこともある」と実感。しかし「相手を突破してトライを決めてみんなで盛り上がるのは楽しい」(三澤)とラグビーの魅力も感じている。
野球の練習ができずに不安を感じる部分もあるが、村橋は「ぶつかり合ってすぐセットを組むので体力がつく」と前向きにとらえ、村上は「野球部より声が出ている」と刺激を受ける。
松国のグラウンドで開催した県大会では、野球部全員が野球の応援スタイルでラグビー部を応援した。野球部員の多くは、普段の学校生活でもクラスが一緒で、ほかの同級生や部活との接触が少ないだけに、「生徒同士のいい交流になってほしい」と坂田監督。「野球以外の競技をやることで気づかされることはあるはずなので、いいところを持ち帰って来てほしい」と楽しみにしている。
北信越新人戦には10チームが出場し、松国は8日の1回戦で石川合同と対戦。上位2チームが3月の全国選抜大会に出場する。