【金城茂之の目】“優勝候補”千葉Jを相手に2連敗、見えた課題と収穫は… 琉球ゴールデンキングス
Bリーグ1部(B1)西地区の琉球ゴールデンキングスは11月30日、12月1日の両日、千葉県のららアリーナ東京ベイで東地区首位の千葉ジェッツと連戦を行い、65ー77、80ー93でいずれも敗れた。キングスはヴィック・ローと伊藤達哉が2試合とも欠場。千葉Jは負傷していた渡邊雄太が、この連戦から復帰した。
キングスの通算成績は11勝5敗となり、首位の島根スサノオマジックと1ゲーム差の西地区2位につけている。
1戦目はアレックス・カークやケヴェ・アルマらがゴール下で得点するも、3Pの精度が上がらない。前半は33ー39と食らい付いて終えたが、第3Qを13ー27とされて一気に突き放された。最終的な3Pの成功数は、千葉Jが33本中13本(成功率39.4%)決めたのに対し、キングスは32本中4本(同12.5%)のみにとどまった。
2戦目は出だしから積極性が格段に増し、松脇圭志や荒川颯、小野寺祥太らが3Pを射抜き、キングスがリードする展開。ただ、個々のタレントで上回る千葉Jが速い展開から逆襲し、第2Qからシーソーゲームとなった。最後は富樫勇樹の連続3Pなどで勝負を決められた。
昨シーズンまでNBAでプレーした渡邊が加入し、今シーズンの優勝候補筆頭に挙げられる千葉J。この2戦を通して見えたキングスの課題、そして収穫は何だったのか。Bリーグの解説も務める金城茂之氏に独自の視点から語ってもらった。(聞き手 長嶺真輝)
目次
◎1戦目のポイントは、千葉Jの岸本選手の守り方
◎2戦目の修正ポイント。スペーシングと、もう一つは…
◎「チャンピオンシップ」に向けた“布石”となる連戦に
プロフィール
金城茂之(きんじょう・しげゆき) 琉球ゴールデンキングス4代目主将。bjリーグでの4度の優勝を全て経験し、当時背負った背番号「6」はチームの永久欠番。引退後は仙台89ERSのアシスタントコーチに就任。現在は地元沖縄を拠点に自ら立ち上げたバスケ塾「Try Error Retry」でコーチを務めたり、Bリーグの解説者をしたりして精力的に活動中。
◾️1戦目のポイントは、千葉Jの「岸本選手の守り方」
ーーー1戦目の入りはいかがでしたか?
「バイウィーク明けということもあり、試合の入りは両チームとも動きが硬かったですね。特に最初の2、3分は。その分、どちらも軽い感じでシュートは打っていました。確認というか、勘を取り戻す意味合いもあったんだと思います」
ーーー試合展開についてはどうでしたか?
「千葉Jのスピードの速さが目立ちました。2試合ともそうでしたが、良いシュートで終わらないとすぐに速攻を出されてしまう。渡邊雄太選手が走ってきて、そのフォローに来るのがジョン・ムーニー選手やディー・ジェイ・ホグ選手。あれは強烈ですね」
ーーー初戦は3Pの成功率が12.5%まで落ち込みました。要因は何でしょうか?
「千葉Jは岸本隆一選手のところをかなり警戒していて、そこを簡単に打たせない。おそらく、『3Pは入れさせない』という約束事があったんだと思います。ピックを使う時も岸本選手が中に入りづらいようにして、ビッグマンを含めて判断を惑わすようなポジションを取っていました。それもあって起点作りが難しくなりました。その次にどこで起点を作るかとなった時にインサイドで作ったんですけど、ボールが入った時の判断があまり良くなかったですね」
ーーー判断の悪さは具体的にどんなところで見えましたか?
「千葉Jが外国籍をクリストファー・スミス選手にして、それに加えて荒尾岳選手と渡邊選手、マイケル・オウ選手を出してる時間帯がありました。他のラインナップに比べて小さいから中を攻めたくなってしまうんですが、中に入れても他の選手の寄りがすごく速い。荒尾選手とオウ選手に体勢を厳しくさせられて、ブロッカーに渡邊選手が飛んで来るみたいなこともありました。そこが穴に見えて、ボールを入れてみたら実は罠を張ってました、という感じで。アレックス・カーク選手から小野寺祥太選手に対し、中から外へのパスがミスになる場面があったんですけど、そこから『ミスをするくらいなら打った方がいい』というような空気感になり、タフショットが増えました」
ーーーそれも3Pの成功率が落ちる要因になったんですね。
「前半にノーマークで3Pを打ったのは、平良選手が打った1本だけだったと思います。岸本選手については経験がとても深い分、自分のところのマークが激しいとなった時に早めにボールを離すようになり、それが今回は逆に転んでしまった印象です。ズレができてない内にボールを離してしまったので、オフェンスがきつい時間帯が多くなりました」
ーーーボジティブな部分はありましたか?
「脇選手はいいドライブをしていましたね。若手選手の怖いもの知らずな感じとても良かったです。荒川選手や平良選手など、恐れずにいく感じの方が千葉Jは守りづらそうでした。その点で言うと、千葉Jは流れとかを無視して得点できる選手がすごく多い。富樫選手、ホグ選手、原修太選手、渡邊選手。タフショットっぽいシュートも多いんですけど、決めきれてしまう。戦術か、個か、みたいな話になった時に、僕は『意外性』というのが一つのポイントだと思うんです。ここで打つのか、ここで入れるのか、という。千葉Jはその辺りが強みですよね」
◾️2戦目の修正ポイントはスペーシングと、もう一つは…
ーーー2戦目は出だしからいい流れでした。何を修正したのでしょうか?
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