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【金城茂之の目】強さの中に見える課題「リードを広げた時に…」、強豪続きの後半戦は“スイッチDF”への対応に注目 琉球ゴールデンキングス

 Bリーグ1部(B1)のレギュラーシーズンが、前半戦が終了した。

 西地区の琉球ゴールデンキングスは1月11、12の両日に中地区の横浜ビー・コルセアーズ(横浜BC)とアウェー戦を行い、初戦を76対60、ダブルオーバータイムにもつれ込む熱戦となった2戦目を103対89でいずれも勝利し、連勝を「7」に伸ばした。RS全60試合のうち、ちょうど半分となる30試合を消化し、23勝7敗で西地区首位を走る。

 地区2位の島根スサノオマジックとのゲーム差は4。全体順位では、東地区1位の宇都宮ブレックス、中地区1位の三遠ネオフェニックスに次いで3位となっている。

 近年の繁栄を支えた今村佳太や牧隼利、アレン・ダーラムらがオフに退団し、主力が入れ替わった今シーズンのキングス。さらに開幕戦で新加入PGの伊藤達哉が負傷離脱し、その後もケヴェ・アルマやウィック・ロー、松脇圭志、岸本隆一など主力のケガ、体調不良が相次いだ。

 厳しい状況の中で、前半戦から7割を越える勝率で西地区1位をキープできた要因は何か。そして、天皇杯と東アジアスーパーリーグ(EASL)の終盤戦を含め、強豪との対戦続きで“山場”を迎える後半戦の見どころは…。Bリーグの中継で解説も務める金城茂之氏に独自の視点から語ってもらった。(聞き手 長嶺真輝)

 

目次

◎横浜BC戦で見えた「起点」の多さ 際立つPG伊藤達哉の存在感

◎「離せる時に…」強さを増すための課題は

◎前半戦の功労者に挙げる”3人”とは

◎平良彰吾「エナジー」とルーキー脇真大がもたらしたもの

◎宇都宮、A東京、SR渋谷鍵は「スイッチDF」への対応

 

プロフィール

金城茂之(きんじょう・しげゆき) 琉球ゴールデンキングス4代目主将。bjリーグでの4度の優勝を全て経験し、当時背負った背番号「6」はチームの永久欠番。引退後は仙台89ERSのアシスタントコーチに就任。現在は地元沖縄を拠点に自ら立ち上げたバスケ塾「Try Error Retry」でコーチを務めたり、Bリーグの中継で解説をしたりして精力的に活動中。

 

横浜BC戦で見えた「起点」の多さ 際立つPG伊藤達哉の存在感

ーーー横浜BCとの初戦はリバウンドが48本対29本、ベンチポイントが41対26で危なげなく勝利しました。評価はいかがですか?

 「盤石な勝ち方でしたね。最近はメンバーが全員戻ってきて、特にオフェンスの破壊力が増しています。起点が多く、相手が対応できていない間に、自分たちのペースでどんどんリード広げて勝つ、とういうのがここ最近の連戦における1試合目の印象です」

ー増えた起点はどんなところですか?

 「ポイントガードに岸本隆一選手と伊藤達哉選手がいて、34番にヴィック・ロー選手とケヴェ・アルマ選手がいる。ジャック・クーリー選手も絶対的な存在です。中でも伊藤選手が戻ってきたことがすごく大きいと思います。彼がいない間は荒川颯選手とかが本来とは違うポジションをカバーしていましたが、伊藤選手が戻ってきて、それぞれが適正なポジションにはまりました。各選手が本来の能力を発揮できる状態になったことが大きいですね」

ー特にセカンドユニットが生き生きし始めましたね。

 「最近はどのチームも岸本選手を止めきれないので、ファーストユニットは言うまでもなく強いです。どちらかと言うとセカンドユニットが課題でしたが、伊藤選手が戻ったことで2BIGでも3BIGでも彼がコントロールしてくれる。荒川選手はやっぱり2番が本職なんだろうなという動きができてるし、そこに松脇圭志選手を入れてもいい。横浜BC戦みたいに小野寺祥太選手をセカンドに入れてもいい。それぞれが余計なことを考えず、ゲームに集中できている印象です」

ー確かに3BIGに関しては、岸本選手と伊藤選手のPGが揃ってコントロールが安定したことで、パフォーマンスが良くなってきました。

 「以前の3BIGは、高さやパワーで無理矢理こじ開けているという感じが少しありましたが、今は伊藤選手が相手のどこが弱いのか、キングスのどこが強いのか、誰がいま乗っているのかを考えて崩しているので、オフェンスのムラと無駄がなくなりました。ナチュラルにボール運びをして、その間に『次はどこを攻めようか』とか違うことを考えていると思います。本職のPGが入るとそこが違ってきますね」

 

「リードを広げた時に」強さを増すための課題は

ー横浜BCとの2戦目は第3Qで抜け出しましたが、第4Q終盤に一気に追い付かれてオーバータイムにもつれ込みました。

 「初戦を落とした後は連敗を避けたいから、どこのチームも2戦目は『むしゃらに』という要素が強くなります。横浜BC2戦目、とにかくオフェンスの切り替えが速く、走っていました。キングスがディフェンスを組む前に攻める場面が目立ちました。その前のディフェンスも圧を上げていて、キングスのガード陣がそれに対して苦戦し、初戦よりも余裕がないシュートが増えました。キングスからすると、2戦目における相手の勢いの押し返し方は課題になるのかなと思います」

ーゲームクロージングにおける課題も見えましたが、その辺りはいかがですか?

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