【金城茂之の目】強豪続く直近は2勝3敗…5試合の評価と“一発勝負”天皇杯準決勝のポイントは 琉球ゴールデンキングス
Bリーグ1部(B1)西地区の琉球ゴールデンキングスはレギュラーシーズンの全60試合中35試合を消化し、25勝10敗となっている。同地区2位の島根スサノオマジックとのゲーム差は「3」で、依然として地区首位を走る。
しかしスケジュール、チーム状態の両面から、正念場を迎えているのが現状だ。
1月中旬にあったオールスターゲーム前後のリーグ中断期間を挟み、1月22日に東アジアスーパーリーグ(EASL)のアウェー戦でフィリピンPBAのメラルコ・ボルツと対戦。89ー71で勝利し、5勝1敗でグループBの1位通過が決定した。3月7~9日にはマカオでプレーオフ「ファイナル4」に挑む。
EASLのグループリーグ順位が懸かった重要な一戦を経て、1月25、26の両日に東地区首位の宇都宮ブレックスをホームに迎え、86ー105、97ー88で1勝1敗。同29日には西地区5位大阪エヴェッサとホームで戦い、95ー97で惜敗した。2月1、2の両日には中地区2位のアルバルク東京とのアウェー戦に臨み、67ー87、83ー58で星を分けた。
Bリーグのリーグ戦再開後の成績は2勝3敗。飛行機移動の時間が長い海外を往復した後、各地区の上位陣との対戦が続く厳しい日程も加味すれば、悪い結果ではない。ただ、チームが最も重視するリバウンドとディフェンスで綻びが見える試合があるのも事実だ。
EASLを含めてタフなスケジュールをこなした前半戦を経て、長いレギュラーシーズンを折り返した今、開幕時に掲げた「アンダードッグ(挑戦者や格下などの意味)」のメンタリティを常に維持することは容易ではないだろう。それでも、2月5日には“一発勝負”である天皇杯全日本選手権の準決勝が控え、中地区首位の三遠ネオフェニックスとホームで大一番を戦う。
直近の試合から見える課題、そして天皇杯準決勝の勝負のポイントは何か。Bリーグの中継で解説も務める金城茂之氏に独自の視点から語ってもらった。(聞き手 長嶺真輝)
目次
◎A東京が岸本隆一に仕掛けたディフェンスは…
◎1戦目で見える「緩さ」、重要な“スイッチ”とガードの頑張り
◎今シーズン最少失点の2戦目、「迷わせる時間を…」
◎リバウンドにおける「開幕時点」との違いは…
◎爆発力とスピードのある三遠、見どころは
プロフィール
金城茂之(きんじょう・しげゆき) 琉球ゴールデンキングス4代目主将。bjリーグでの4度の優勝を全て経験し、当時背負った背番号「6」はチームの永久欠番。引退後は仙台89ERSのアシスタントコーチに就任。現在は地元沖縄を拠点に自ら立ち上げたバスケ塾「Try Error Retry」でコーチを務めたり、Bリーグの中継で解説をしたりして精力的に活動中。
A東京が岸本隆一に仕掛けたディフェンスは…
ーーーA東京との初戦は67ー87で完敗しました。評価を教えてください。
「前半戦は上位陣との対戦が少なかったこともあり、強豪チームのディフェンスのプレッシャー強度に少しギャップがあるのかもしれません。特に直近の宇都宮、大阪、A東京の3チームはディフェンスでしっかりプレッシャーをかけるチームで、それにプラスしてサイズもあります。最近の1試合目は、それに対して面を食らったまま、リズムをつかめずに終わってしまうケースが目立ちます」
ーーーA東京の初戦はペイントエリアに入ることもままならない状態でした。
「サイズがあるA東京の激しいプレッシャーに対して、ハーフコートオフェンスで自分たちがスタートしたい位置にボールを運ぶまでに時間がかかってしまっていました。だから、ミスマッチや相手ディフェンスのズレができた頃には、もう時間がない。そこから焦りが出て、1対1になってシュート成功率が下がるという悪循環にはまってしまった印象でした」
ーーーなかなかディフェンスを崩せず、オフェンスの終わり方は良くなかったですね。
「1戦目は岸本選手も判断を苦しめられた印象です。先日の大阪もそうでしたが、A東京は岸本選手にディフェンスをさせて、少しでもオフェンスを狂わせるという狙いを持ってやっているように見えました。コンマ何秒とかの世界ではありますが、ディフェンスで狙われ続けると、オフェンスの判断に狂いが生じることがあります。ショーディフェンスなどで徹底マークもされていたので、岸本選手にとっては難しい試合になったと思います」
ーーー確かに、岸本選手は1戦目の「+/−」が「−22」で、ターンオーバーは3つ。かなり警戒されていた印象でした。
「A東京はセバスチャン・サイズ選手、ライアン・ロシター選手というディフェンスの距離感が抜群にうまいビッグマンがいます。前半戦で戦ったチームには、あそこまでのレベルのビッグマンは少なかったと思います。激しいボールマンプレッシャーを受けながら、ピックを使った後もボールマンのディフェンダーが追い掛けてきて、その下では2人のビッグマンがいろんな距離感で迷わせてくる。そこが1試合目で苦戦した全ての要因につながると思います。岸本選手がうまく波に乗れない時、どう次の起点をつくるかは課題です」
1戦目で見える「緩さ」、重要な“スイッチ”とガードの頑張り
ーーー1戦目のキングスのディフェンスはいかがでしたか?
「宇都宮、大阪、A東京との試合を見ていて、1戦目の緩さは少し気になりますね。ピックのところをうまく突いてくるチームに対して、相手がやりたいようにやられてしまう。A東京との1試合目のディフェンスは全てが後追いになってしまい、今シーズンの全試合の中でもかなり厳しい内容でした」
ーーータフな日程をこなしてきて、心身のコンディションを保つ難しさもあるのでしょうか?
「どのチームもそうですが、毎試合を高い強度で40分間プレーすることはできません。どれだけ『ディフェンスが良い』と言われるチームでも、知らず知らずのうちにスタンダードの質は下がっていきます。選手も人間なので、その日の体調とか蓄積疲労が影響し、その日の100%を出しているつもりでも、スタンダードが下がっているということはよくあります。その中でいかに試合の度にスイッチを入れられるかは本当に難しいですが、今後も重要なポイントになります。あと、キングスはビッグマンの俊敏性がそこまであるわけではないので、ガード陣の頑張りもより必要になってくると思います」
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