久保憲司のロック・エンサイクロペディア

アデル 『25』 ・・・アデルはブレない。自分が金持ちになっても、貧しい人たちの味方だ。自分がどういう人間だったか忘れていない (久保憲司) 【ロック、こんなことを歌ってます】

25
今週のこれを聴けは、アデルの5年ぶりの3枚目を聴かなくって何を聴くです。『25』というよりシングル曲「ハロー」を聴いて見てください。

 

 

町山智浩さんが自身のホームページに「ハロー」の対訳を突然載せているので、とんでもない曲だろうというのはよく分かっていたんですが、youtubeで、町山さんの対訳見ながら何回か見たんですけど、失恋の歌かなくらいしか分からなかったです。彼氏は地球の反対側に住んでいるのかなと。PVもそんな感じです。

アルバム発売日にitunesでダウンロードして、車の中で大音量で聴いたら、アデルが何を歌いたいのか一発で分かりました。歌の凄さって凄いすね。

でも、日本人で「ハロー」がどういうことを歌っているのか、理解しているの町山さんと僕だけですね。外国の人も分かってなさそうです。あなたにもこの歌を理解する人になってもらいたい。とっても大切な歌なので。

“カリフォルニア・ドリーミングはどこにいったの
わたしたちが若くって、自由だった頃
世界が壊れる前がどんな世界だったか忘れてしまった”

(「ハロー」)

 

あーこの歌はブリンズレー・シュウォーツというかエルビス・コステロの「(ワッツ・ソー・ファニー・アバウト)ピース・アンド・ラブ・アンダースタンディング」なんだなと。映画「ロスト・イン・トランスレーション」でヒッピー世代の中年のアメリカ人俳優がカラオケで歌う曲です。

 

 

“最低の世の中を歩いてきた。ひとすじの明かりを求めて。
自分に問いかける。俺たちの夢は終わったのか?

俺が知りたいことは一つだけ
平和と愛と調和を語ることはそんなにおかしなことなのか?”

「(ワッツ・ソー・ファニー・アバウト)ピース・アンド・ラブ・アンダースタンディング」

「ハロー」とアデルは何千回も電話してるけど、一体誰に電話してるんだろうと思いました。神様にかなと?「一体あの幸福な時代はどこに行ったんだ?返してくれ」と電話してるのかなと。違うすよね。アデルはぼくらに電話しているのです。一体みんないつになったら立ち上がるんだと。

さすが労働党の申し子と言われるアデルです。

移民は出て行けとか、難民は来るなとか、違うだろうと。みんなで助け合う向こうに未来があるということになんで誰も気づかないんだ、ということをアデルは歌っているのです。

 

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