【世界のロック記憶遺産100】 The Who “Tommy” ・・・ROCKという言葉を生んだアルバム
ロック、ロックとみなさんよく言っておられますが、いつからロック=ROCKという言葉が使われだすようになったかご存知ですか?
「えっ、そんなのマック(関西ではマクド)みたいに、ロックンロールというのがめんどくさくって、ロックと言っていただけやろ」という声が聞こえてきそうですが、違うのです。
ROCKという言葉にはある意味を込めて使われだしたのです。
ROCKという言葉を生んだアルバムがあるのです。それがこの頃はあまり話題にならないフーの『トミー』というアルバムです。
60年代を象徴するアルバムなんですけど、今はもう完全に忘れ去られたアルバムです。一応権威あるアメリカの雑誌ローリング・ストーンのオールタイム・ベストの96位ですが、聴いたことないでしょう。
フーのベーシスト、ジョン・エントウィッスルが亡くなって、代わりをつとめるピノ・パラディーノが『トミー』のことを全く知らなくって、ギターのピート・タウンゼントに「世界中で2000万枚も売れたんだぞ、お前の親戚か友達が持ってだろ、借りて来い」とリハーサル中にブチ切れてました。
『トミー』を全く知らなくっても世界を代表する名ベーシストに成れた人がいるんだから、『トミー』のことを知らなくっても何の支障もないと思いますけど、ちょっと悲しいんで、解説したいと思います。
ロック・オペラというジャンルのアルバムです。
オペラというくらいなんで、お話があります。
でも、このアルバムを聴いても、あんまり物語は理解出来ません。作者のピート・タウンゼントもよく理解してなかったみたいです。観念的なアルバムなんですね。60年代が観念的だったからでしょう。
でも『トミー』というオペラの物語が理解出来る方法があるんです。
映画『トミー』を見れば、どういう物語か分かるんです。監督のケン・ラッセルが『トミー』を聴いてこういう物語かなと解読したのです。解読というより批評作業をしたんですね。
『トミー』がどういう話かというと、トミーのお父さんは第2次世界大戦で行方不明となった。3年後、お母さんは再婚して幸せな家庭を築いていると、トミーのお父さんが帰ってくると、新しいお父さんと喧嘩になり、トミーのお父さんは殺されてしまう。トミーはその現場を見てしまう。トミーのお母さんと新しい父はこのことをお前は見なかった、聞かなかった、誰にも言うじゃないぞという。そして、トミーは目も、口も、耳も聞けない少年になる。この少年がどうやって、目が見え、耳が聞こえ、話せるようになるかの物語だ。
おもしろそうな話でしょう。
ピートはなぜこんな話を思いついたか。ピートは本当に三重苦になったことがあったのです。強いアシッドをやって、そういう体験をしたのです。
そして、ピートの自伝を読んでいると、どうも子供の頃に両親の浮気か祖母のセックスを見て、「見たことをを誰にもいうじゃないよ」と言われた経験がありそうです。ピートの家はミュージシャンの家系でちょっとオープンだったみたいです。
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