当時の若者の答えは「分かった、俺たちはエクスタシーやって、毎週踊るよ」。その引き金になったようなバンドがストーン・ローゼズだったのです 『ザ・ストーン・ローゼズ』全曲解説(2)
→前回(1)よりつづく
『ザ・ストーン・ローゼズ』全曲解説前半面白かったでしょうか。続きをどんどんやっていきます。
3曲目「ウォーターフォールズ」
サイモンとガーファンクルのような切ないメロディとスミスのジョニー・マーのアルペジオ・ギターをつたなくしたようなギター、だけどジョン・スクワイアのギターはいつまでも僕の心の中で鳴り続けている。万華鏡のようなサイケデリックな揺かごに包まれたような気分に何十年経ってもさせてくれる。60年代のサイケのようで全く違った新しい音、それはパンクも通過し、これから始まるアシッド・ハウスの雰囲気も明確に捉えているからだろう。
プロデューサーのジョン・レッキーとメンバーが新しいサイケを作るという明確な思いがあったのかどうなのか分からない。ジョン・レッキーはビートルズのエンジニアの助手をやり、その後はピンク・フロイド、そして、ダブを取り入れようとしていたパブリック・イメージ・リミテッドをサポートしたエンジニアです。その後プロデューサーとなった彼の初期の最高傑作はマガジンの『リアル・ライフ』、ニュー・ウェイヴ・ソウル・サイケデリックな音はストーン・ローゼズ、レディオヘッドに受け継がれていったのです。
そんな出来事からエンジニアからプロデューサーに昇格した彼の初期の最高傑作がマガジンの『リアル・ライフ』。ニュー・ウェイヴ・ソウル・サイケデリックな音はのちのストーン・ローゼズ、レディオヘッドに受け継がれています。
ジョン・レッキーとメンバーがどんな会話をしながらアルバムの音作りをしていったのか分からない。ジョン・レッキーのストーン・ローゼズのレコーディング中がどんな感じだったか印象に残る言葉は「彼らパブリック・エネミーのアルバムよく聴いていたよ」くらいだが、ジョン・レッキーと彼らが求めた音はヘヴィでサイケな音だったのだろう。
ストーン・ローゼズの雛形はプライマル・スクリームの『ソニック・フラワー・グルーヴ』です。この曲の歌詞もそうだが「(ソング・フォー・マイ)シュガー・スパン・シスター」「シー・バンクス・ザ・ドラムス」に『ソニック・フラワー・グルーヴ』の歌詞の影響がうかがえる。
『ソニック・フラワー・グルーヴ』は全く売れなかったが、ローゼズが求めたのは『ソニック・フラワー・グルーヴ』のジム・ビーティの12弦ギターの音。12弦のギターはどれだけ一生懸命チューニングしてもどこかディチューン(ちょっとチューニングがずれる)になる。デジタルな現在なら完璧に同じチューニングでやれるけど、アナログ時代はそれが出来ないのだ、それがまさにサイケな音、スミスでいうとジョニー・マーのアナログ・コーラスの音です。プライマル・スクリームがやれなかったことを彼らは引き継ぎ大成功させたのだ。1回目は誰もうまくいかないが、同じことを違う人が2回目やるときには成功することがあるのです。コンピューターの世界でいうと、パーソナル・コンピューターの父アラン・ケイがうまくやれなかったことを、そのままパクって成功させたスティーヴ・ジョブズのようなものです。
プライマル・スクリームは音と歌詞だけじゃなく、ギャングのように仲間たちとツアーをするスタイルも影響を与えた。
「ウォーターフォールズ」がどういうことを歌っているのかくわからないが、レイブでトンでいる女性をみながら、彼女は瀧のようだな、きっと瀧が落ちていくように気持ちいいんだろうなということを歌っているようなことを歌っているんでしょう。
4曲目「ドント・ストップ」
(残り 1887文字/全文: 3366文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
タグマ!アカウントでログイン
tags: John Leckie The Stone Roses
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ