久保憲司のロック・エンサイクロペディア

ルー・リード『パーフェクト・デイ』 花見が出来ないこの2年間、綺麗な桜をみながら、僕はずっとこの歌を歌っていました

 

 

桜は好きなんですが、サクラ、サクラって歌われる歌は嫌いです。コロナが終息して、来年の花見の時に桜を観ながら歌える歌はないかと、色々考えてみたのですが、唯一あったのがランナウェイズの「チェリー・ボム」だけでした。

 

 

ちなみに外国行った時に歌いたくなる曲はどんな国でもジョー・ダッサンの「オー・シャンゼリゼ」です。この曲のオリジナルはイギリスのサイケ・バンド、ジェイソン・クレストの「ウォータールー・ロード」です。ウォータールー・ロードに行けば何でもあるよ、という歌なんですけど、本当のウォータールーは何もない所です。ロンドンに住んでいる頃、僕の現像所がウォータールーにあって、本当に行くのが嫌で仕方がなかったんですが、あの頃のロンドンで一番プリントが上手い人がウォータールーの現像所にいたのです。だから僕はいつもウォータールーに行く時はキンクスの「ウォータールー・サンセット」を歌いながら行ってました。そうしたら本当にあの歌の通りに世界で一番綺麗な夕陽がウォータールー・ブリッジを照らすんです。そうしたら、「ウォータールー・サンセット」のように全てどうでもよく思えてしまうのです。

 

 

「ウォータールー・サンセット」がどういうことを歌っているかは今度書くとして、ランナウェイズです。「チェリー・ボム」はプロデューサーのキム・フォーリーに犬のウンコを投げつけられながら作られた曲です。録音中は犬のウンコを投げつけれてなかったと思いますが、プロデューサーの意図したことは、“お前らこんなことでビビってんじゃないぞ、ロックしろ”というメッセージだったと思うんですが、そんなことして本当にロック出来るのか謎ですが、「チェリー・ボム」がすごいロック・ナンバーな曲に仕上がっているのは間違いないです。

録音中でも本当にプロデューサーのガイ・スティーブンスに椅子とか投げつけられていたのはクラッシュです。そうやって録音されたサード・アルバム『ロンドン・コーリング』はロック史に残る名盤となったんですから、物を投げられるというのは何か効果あるんですかね。今だとパワハラになるので出来ないですね。

 

 

ガイ・スティーブンスは不思議な人です。彼がクラブで回していたレコードをザ・フーやローリング・ストーンズが「この曲ヤバいよね」とカヴァーしてたわけです。この人の精神みたいなものがブリテッシュ・ロックの基本の一部になったわけですから、とっても重要だと思うのですが、まだ日本では謎に包まれたままなので、のちのちここでも書いていきたいと思います。

「チェリー・ボム」一体どんなこと歌っているんだろうと調べたらこんな歌でした。

 

家には居場所がないし
学校にもない
私はバカだと年寄りはいう
通りじゃ私はどこでもいる子
あんたが待っているようないい女

お父ちゃん、お母ちゃん、
あたしはチェリー・ボム(処女のワイルド な女の子)

 

今流行っているAdoさんの「うっせわ」と変わらない歌でした。

 

 

正しさとは愚かさとは
それが何か見せつけやる

ちっちゃな頃から優等生
気づいたら大人になっていた
ナイフの様な思考回路
持ち合わせる訳もなく

でも遊び足りない 何か足りない
困っちまうこれは誰かのせい
あてもなくただ混乱するエイデイ

 

エイデイってネットではエブリデイの略と言われてますけど、これ歌詞の流れからすると、“あの日(生理)”のことでしょう。ネットでは誰もこれを書いてないので、ネットやっている奴って、オッサンばっかりなのかなと思ってしまいます。

 

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tags: Ado Lou Reed The Runaways

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