久保憲司のロック・エンサイクロペディア

リトル・リチャード『トゥティ・フルッティ』 の”wop bop a loo bop a lop bom bom”という魔法は一体なんやと探しているわけです。死ぬまでに理解出来るんですかね

 

ロック史上最高のイントロ、リトル・リチャードの「ワップ・ボップ・ア・ボップ・ア・ブーン・ブーン(wop bop a loo bop a lop bom bom)」って、なんやねんと、ずうっと思っていたんですが、訳すと、「いいケツしてるな」だそうです。

曲のカウントの「ワン、ツー、ワン、ツー、スリー、フォー」を「いいケツしてるな」で、始めるのめっちゃくちゃかっこいいですね。ここからロックンロールが本当に動きだしたような気がします。

ロックンロールという言葉が、セックスの表現というのも笑ってしまいますけどね。ロックして(ガッといれて)、腰をロールさせる(腰を回す)、セックスの指南書のようなテクニックを音楽ジャンルの名前にするなんて、今の時代だったら考えらないような気もしますが、トラップ・ミュージックなんて聴いていると、まさにドラッグで飛んだはるなって言葉をトラップって一言で表しています。もうセックスなんてやってられないって感じなんでしょうね。ドラッグでぶっ飛んでないと人生やってられないという感じなんでしょうね。日本でいうと、若い女の子とかがプラットフォームでストロングゼロ飲んで酔い潰れている感じですよね。彼女たちの頭の中ではどんな音楽がなっているのか気になる所です。

僕がロックンロールやブルース、R&Bを好きなのは、トラップやストロングゼロ以前の無垢な感じがある所が好きなんですよね。セックス(ロックンロール聴いていたら)やっていたら、すべてオッケーみたいな純粋さを感じてしまうのです。

マーク・ボランもカウントの仕方がかっこいいんですけど、やっぱりいいミュージシャンは言葉で、音楽を再現出来て、それを他のメンバーに、こうやってやるんだぜと伝えているのです。リトル・リチャードもまさにそうですよね、リトル・リチャードは口でドラムはこうやって叩くんだよって、教えているわけです。

ロックンロールって何なんだなって、やっぱりドラムなんだなと思います。みんな簡単にロックン・ロール、8ビート、8分音符を8回、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダッ、ダッ、ってやるだけだろって、いいますけど、本当に出来ているんでしょうか、僕もダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダッ、ダッ、て書いたですけど、読み直したら、7回しか書いてないです。一回どこ言ってんねんと思うわけです。

ネットでは「ワップ・ボップ・ア・ボップ・ア・ブーン・ブーン(wop bop a loo bop a lop bom bom)」て書いてありますが、僕には「ワップ・バッ、パ、ルアッパ、ブン、ブン、ブン」と聴こえます。このイントロもも死ぬまでにちゃんと完コピで言えるようになりたいです。これがちゃんと出来るから、リトル・リチャードはロックンロールの神様なんでしょう。

リトル・リチャードの演奏自体は本当に単純にキーボードを8回単純に弾いているだけです。その間をドラムが「ワップ・ボップ・ア・ボップ・ア・ブーン・ブーン」と複雑に叩くわけです。そうして、なんともいえない、踊り出したくなるような音楽が生まれるわけです。

 

 

レッド・ツェッペリンの「ロックンロール」て曲はまさにそういう曲です。もうプロとして何十年もやってきたベテランのジミー・ペイジが、ローリング・ストーンズのモーヴィル・スタジオを借りた時に、ストーンズの元ピアニストのイアン・スチュアートがセッティングがてら、ピアノを弾いたら、そのリフに感動したというか、あ、俺ら、ロックンロールのことを誤解してたかもと、作り直した曲が「ロックン・ロール」です。この「ロックン・ロール」が入っているタイトルのないアルバムで、ツェッペリンはロックの頂点に到達するわけですけど、その中に、あ、俺たちロックンロールのこと誤解してたもかという曲が入っているのです。「ロックンロール」という曲は原点に帰ろうとか、初心を忘れるなとか、そういう意味は込められていないのです。あ、俺たちロックンロールのこと誤解してたな、ロックンロールって何でこんなにウキウキするかというと、単純なリフの中に、複雑なドラムが入っているからだよね。というすごいシンプルなことに気づいたからです。

 

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