ヒューマン・リーグ「ブラインド・ユース」 指一本でパンクなリフを弾いて歌ったのはセックス・ピストルズへの批判です
アークティック・モンキーズのライブを見て思い出すことは、彼らと同郷のシェフィールドのバンドたちのことです。
人から何を言われようが、己を通す頑固さを彼らは持っています。イギリスのバンドにはそういう所があまります。そして、それは北に行けばいくほど強くなる。
そんな中でもシェフィールドのバンドはそれが強い。ヒューマン・リーグ、ヘブン17、ABCと、シェフィールドのバンドはなぜかエレクトリックの匂いが強いが、こんなバンドの中にハード・ロックのデフ・レパードを入れてもいいのじゃないだろうか。
彼らが3作目『炎のターゲット』で頂点に立った時、ドラマーのリック・アレンが交通事故を起こし、片腕を失うという、彼としてもバンドとしても最悪の悲劇に見舞われたわけだけど、彼らは新しいドラマーを入れるのじゃなく、リックのために作られた、片腕でもドラムを叩けるという新しい機材に対応出来るまで、活動を停止し、彼が帰ってくるのを待ったのです。そして歴史的名盤『ヒステリア』をリリースするのです。
そんなシェフィールドのバンドたちの始まりはヒューマン・リーグだったと思うのです。その前にキャバレー・ボルテール、クロックDVD、アーテリーまでさかのぼれるですが、今回はヒューマン・リーグから始めましょう。
しかし、もう一回書きますが、なぜこうもシェフィールドからエレクトリックに特化したバンドが生まれたのか、後にビッグ・ブラッグ、ミニストリーといったシカゴのバンドにエレクトリックに特化した凶暴なバンドが多かったのと似ているのかもしれません。ブルースもエレクトリック化したのはシカゴですし、ハウス・ミュージックが誕生したのもシカゴです。シェフィールドもエイフェックス・ツインなどを産んだ(別に産んではいないけど)ワープという変わったエレクトリックのレーベルが、レコード店をやってたのもシェフィールドです。
頑固とリンクするのかもしれませんが、シェフィールドにギャングが多かったのもその理由かもしれません。当時の北部のギャングだとドラマにもなったバーミンガムのピンキー・ブラインダーズが有名ですけど、シェフィールドのギャングは彼ら以上に残忍だったと有名で、ここはリトル・シカゴだと自分たちの街を呼んでいたのです。
バンド間でもなんかギャングの闘争みたいな精神が渦巻いていたのかもしれません、デフ・レパードなんかも道で見かけて「なんじゃあの気持ち悪い奴らは」とバカにしていたヒューマン・リーグの面々が、いつの間にか、自分たちよりも格が上になっていて、彼らの前座をしなければ、シェフィールドという小さな街ではライブが出来ないという現実をバネに頑張ったのです。
ヒューマン・リーグの画期さとは、日本製の安いシンセを買い、デチューンというシンセ独特のテクニックを使い、これがギターのパワー・コードと同じことを指一本で出来ることに気づいたのです。
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tags: The Human League
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