久保憲司のロック・エンサイクロペディア

クラフトワーク『アウトバーン』  フジロックに出たクラフトワークが炎上して面白かったです。 クラフトワークって、そういう世界から一番離れたバンドなのにと

 

フジロックに出たクラフトワークが炎上して面白かったです。

クラフトワークって、そういう世界から一番離れたバンドなのにと笑ってしまいました。

クラフトワークというのは、元々ヒッピーのゴチャゴチャに疲れて、俺たち内面がどうとか、そんなんどうでもいいねん、製品みたいなバンドになりたいねんと変化したバンドなのに。

といいつ、クラフトワーク(ドイツ語で発電所)みたいなバンド名にしたことには、なんかまだヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーター(バンド名であり、静電発電機名です。なんかこの機械めっちゃかっこいいのです)って、かっこいいよね、って気持ちがまだ残っていたのですかね。

 

 

By Unknown author – Retrieved April 11, 2015 from “Huge generator to smash atoms” in Popular Science, Popular Science Publishing Co., New York, Vol. 131, No. 1, July 1937, p. 35 on Google Books, Public Domain, Link

 

 

因みにクラフトワークとヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーターって、元セックス・ピストルズのジョン・ライドンが大好きなバンドです。

 

 

 

 

ジョン・ライドンが大好きなクラフトワークとヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーターとカンを好きって言っとけば、めっちゃ通な感じがします。

話をずらしていくと、クラウト・ロックが出た頃って、ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーター(発電機の方ね)とかが神秘的でかっこよかったのです。テスラ・モーターとか。それにウイリアム・ライヒのオルゴン・ボックスやイーノなんかがロバート・フリップなんかにギター・ソロの指示を出す時は「ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーター(発電機の方ね)みたいな感じで」と言ったりしてました。で、「分かった(ほんまに分かったのか)」と言いながら「ベイビーズ・オン・ファイヤー」などの気の狂ったギター・ソロを演奏したりしていたのです。ロバート・フリップ、ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーター(バンドの方ね)で一曲ギター弾いたりしています。

 

 

 

 

話がごちゃごちゃしてきたので、戻しますが、僕も世の中のゴチャゴチャに疲れて、頭が空っぽになるクラフトワークの『アウトバーン』を聴いてみたいなと思っていた頃だったのに、どうも世の中は反対になるなと笑ったのです。

ゴチャゴチャした人が多いんでしょね。

普通、クラフトワークが炎上て、彼らが2012年のNO NUKES2012の時に出た時に「あのクラフトワークが政治的イベントに出るのか」と炎上だったと思うのですが、今頃です。

そんなクラフトワークも趣旨よりも坂本龍一さんとの友情をとるのかと僕は感動してたんですけどね。今回のライブでもそんな坂本龍一さんとの思い出が涙を誘っていましたよね。ロボットも歳をとると感情が出てくるんですね。

クラフトワークの夢だった、ロボットを送って、それで演奏させることが可能なのに(というかデータでいいじゃんという時代になっているんですけど)、まだちゃんとライブしに来るというのが笑ってしまいますけどね。

日本のウイキなんかを見ると、ライブはちゃんと演奏して、同じ質問を繰り返えさせられるインタビューにはロボットを送りたいと言っていたということに修正されています。本当に日本のファンは優しい。

本当のクラフトワーク・ファンとしては今の時代をしっかり考察して、AIとは何かとか、メタバースとは何かをスタジオに3年くらい篭って考察したアルバムを出してもらいたいと思うのですが、もう時代の方がどんどん進んでいくということでしょうか。まっ、ずうっと実はスタジオに篭って考察しているのかもしれないですけどね。

今から考えると、クラフトワークの凄さって、自分たちのスタジオを持ったということだと思います。好きなだけ自分たちが満足するまで、スタジオで音作りをするということだったんだろうなと、今じゃあたりまえのことですけどね。

みなさんクラフトワークの『アウトバーン』聴いたことあります?

一番最初のアンビエント・アルバムです。

 

 

ドイツのアウトバーンを走っていくだけのアルバムです。フィールド・レコーディングじゃないですよ。当時どんな音でも作れると思われたアナログ・シンセサイザーで、ドイツのアウトバーンを走っていることを再現していくアルバムです。今でいうとメタバースですね。マインクラフトで、自分の世界を作っていく感じですかね。

シンセサイザーが出た時って、そんな感じだったのです。富田勲大先生が何百万もするシンセサイザーをアメリカから買って、入管で何ヶ月も止められて、これはなんかスパイの機械化と思われたりしたもので、オーケストラの演奏をそれで、何百回て多重録音しながら、それでもオーケストラ雇って録音するより安いよなんていいながら、交響曲を作り直していたのです。

 

 

 

 

それって今から考えるとこういうメタバースの世界のことだったのだと思うのです。

 

 

続きを読む

(残り 1472文字/全文: 3854文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ