レナード・コーエン 『ハレルヤ』 この歌は音楽と言葉はどちらが凄いのかということをケンケンガクガクした歌でもあるのです
世界一難解とされる曲の解説を。
と、みなさん言っていますが、そんな歌ではないです。
なぜ、この曲が感動するかという話です。
ウィキを見ると“愛する人と出会いと別れといった場面における感情を楽曲である“と書かれていますが、これは二人のミュージシャンが音楽とは何かということを話あっている歌です。
何を話し合っているかというと、先に書きましたが、“なぜ、この曲が感動するか”ということです。
出だしはこう始まります。
なんか、すごい秘密のコードを聴いた
デヴィッドが今弾いたやつだ
どんなコードですかね。60年代だったら、ジミ・ヘンがイギリスに持ってきて、ジミ・ヘン・コードと呼ばれるE7(#9)ですかね。70年代だったら、メジャーセブンスですかね。
ビートルズだったら、「オー・ダーリン」のオーギュメントですかね。それともいまだにみんながこの曲みたいに、「どんなコードだ」とケンケンガクガクやっている「ア・ハード・ディズ・ナイト」の出だしのジャーンですかね。
でも、レナード・コーエンはこう歌うのです。
でも、そんなのどうでもよくない
と。
そして、僕たちに
君ら本当にそこまで、音楽について気にしている?
と歌いかけてきます。
そうなのです。この曲はどうやってヒットが生まれるか、人はなぜその曲に感動するのか、の話なんです。大きくというと芸術って何?の歌です。
歌の続きはこうです。
次のコードを四番目にしたり、五番目にしたり
解説しますと。キーがCの時(1番って言われます)、4番目のコードはFです。5番というのはGです。
ほとんどのロックンロール、ブルースはこの三つの数字で出来ているのです。
1、4、5という不思議な3コードで僕たちは何百年も感動させてもらっているのです。たぶん、これから何百年も。
で次の歌詞は
マイナーにして悲しくしたり、メジャーにして楽しくさせたり
CをCm(マイナー)にしたりするテクニックって、ビートルズお得意ですよね。メジャーにするというのは、ビートルズでいうと「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」ですかね。悲しいマイナー・キーから始まって、サビでメジャーに転向して、グチグチ悲しんでいたのを、いやーでも大丈夫だからと持っていくのです。
で、どういうオチかというと、
「そんなのハレルヤ(どうでもいいじゃん)」と歌うわけです。
ここに僕らはやられるわけです。
レナード・コーエンは歌の中でこう説明してます。
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