ザッカーバーグの姿勢とFacebookの姿勢-朝日新聞を添削する 10-(松沢呉一) -2,647文字-
「ドイツの苦悩-朝日新聞を添削する 9」の続きです。
Facebookの姿勢
『闇の女たち』に集中していたため、なかなかこっちに戻ってこられず、できることならこまま焼け跡の時代に居続けたい気分ですけど、そうもいかないので、「今」の話もやっておきましょう。
しばらくの間、Facebookもほとんど見ていなかったのですが、このハフィントンポストの記事は、焼け跡時代に行っている時にチラリと見てました。
こちらがその投稿。
100万を超える「いいね!」がついて、シェアも数十万に達しています。
以下はハフィントンポストの翻訳。
私はアメリカだけでなく、世界中のイスラム教徒を支える輪に加わります。パリの同時多発テロやその後の事件で、イスラム教徒に対する憎しみが広がっています。全くの他人が起こした行動が原因で、今イスラム教徒の人たちは、迫害される恐怖を感じていることでしょう。
ユダヤ人である私は、両親から全てのコミュニティーに対する攻撃に立ち向かわなければいけないと教えられました。それが自分に向けられたものではなくても、誰かの自由に対する攻撃はいつか全ての人を苦しめることになる。
Facebookを使っている全てのイスラム教徒の皆さんに、私はリーダーとして伝えたい。ここでは皆さんはいつでも歓迎されている。皆さんの権利を守るために闘い、平和で安全な場所を作ります。
子供を授かって、私たち夫婦には多くの希望が生まれました。誰かを憎めば、簡単に人は悪だと信じるようになってしまいます。希望を失ってはいけません。共に立ち上がり、お互いの良いところに目を向けましょう。そうすることで全ての人にとってより良い世界を築けます。
ルールの限界
これを読んで、「だったら、Facebook上のヘイトスピーチをなんとかしろ」と憤る人たちもいるんでしょうけど、そう簡単にはいかないのは今まで書いてきた通り。
ルールを作り上げたがためにそこから外れたものに適用ができなくなる。ルールというのはそういうもの。あるいはルールを作り上げたがために、そこに該当するものは、当初の意図を超えて適用される。これもルールの宿命。
Facebookは規約でヘイトスピーチに対する定義等を決め込みすぎたのです。民間のSNSなんですから、もっと適用しやすいアバウトな規約にしておけばよかった。しかし、それを求めるんだったら、自分がその煽りを食らうことを覚悟するしかない。「こんなん、ただの罵倒であって、ヘイトスピーチではないだろ」と自分の定義で文句を言っても無駄。自分が望むものだけに都合よく適用できるルールなどない。
ヘイトスピーチ規制法についての議論においても、法が必然的に持つこういった性質についてはしっかり考えておかなければならんと思います。これについても書いておきたいことがあるのですが、別立てにします。
アカウントについてのFacebookのルール
おそらくこれも規約に則っているのだと思うのですが、規約に反する投稿を削除することはしても、問題のある発言をしたところで、アカウントの削除はそう簡単にはしないのがFacebookの方針のようです。もちろん、「実名ではない」といったようにアカウント自体に違反がある場合は別です。
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