松沢呉一のビバノン・ライフ

消え行く師弟関係—KaoRiとアラーキーの件から考えたこと(12)-(松沢呉一)-3,234文字-

どこの国でもアバウトなところはアバウト—KaoRiとアラーキーの件から考えたこと(11)」の続きです。

 

 

 

師弟関係が崩壊しつつある時代

 

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ちょっと前に西陣織の職人が弟子の募集をしたところ、その待遇の悪さに炎上したことがありましたよね。伝統工芸の弟子はこういうもんだろと私は思ってしまいましたが、労働として考えるとたしかにブラック。半年は給料なしですから、外国人の研修制度よりひどい。

 

 

2017/03/18付「J-CAST ニュース」より

 

 

でも、弟子は労働ではありません。

弟子志願者が、「弟子にしてください」とやってきて、「いやいや、弟子はいらないよ」と断っているのに、夜中まで玄関の外で正座している。

「そんなところにいたら風邪をひくから中に入りなさい」と言われて三和土に正座。

翌朝起きたら、まだ三和土にいる。

「しょうがないヤツだな。弟子にしてやるが、三年間給料はないぞ」

「はい、覚悟しています」

というので弟子にするものです。よくは知らないですけど。

 

 

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