匿名であることの強さ—ネトウヨ春(夏)のBAN祭り[11] (松沢呉一)-2,691文字-
「心の矯風会を抑えろ—ネトウヨ春(夏)のBAN祭り[10]」の続きです。
しばらく関連スレッドを見てないので、内容が古くなっているかもしれないですが、すでに2013年以降のカウンター行動についての一人反省会になっているので、このまま進めます。
ニコニコ動画はゴミ箱として放置
「BAN祭り」では感心することしきりなのですが、「ニコニコ動画をどう考えるか」という議論でも感心しました。
これはBAN祭りが始まって間もなく専用スレッドで論じられています。
だいたい以下が代表的意見でしょう。
金のために差別を利用している連中は金にならなきゃ撤退します。であるなら、現状、動画で大きな金を生み出しているYouTubeに集中した方がいい。限られた人員を複数の対象に割くと、効果も分散します。
どこの箇所がヘイトスピーチに該当するのかを探さなければならないですから、「BAN祭り」は時間と労力がかかります。ヘイト画像を見続けるには精神力も必要。面白ければいいとして、即製でレベルの低い動画であり、通常、人が共有している良識や見識、知識、常識といったものが欠落してますから、まともな頭をしていたら1本で疲弊します。
企業だったら、人員を費やすだけでも金がかかりますから、事業計画を立てて、予算書を作って、会議に諮り、といった過程を経るので、無謀な計画は実現しないですが、ハンJ民は「心の関東軍を抑えろ」の方針で無謀なことはやりません。
YouTubeの掃除がざっと終わったら、余力で次の場所の掃除をすることになるかもしれないとして、とりあえずYouTubeに集中する方針が「BAN祭り」に多大な戦果をもたらしているのです。
※写真は「神楽坂祭り」より。以下同
関東軍を抑える秘訣
どうしてハンJ民たちが「心の関東軍」や「心の矯風会」を抑え込んでいられるのかを考えると、スレッドという枠組みが作用していることに気づきます。最初からテーマが限定されていて、ルールもスレッドが立てられるたびに掲げられる。書き込みが1000になったところでスレッドを立て直す仕組みは面倒ですけど、その度に最初に立ち返るため、横道に逸れていきにくい仕組みになっています。
それが気に食わない人は参加しない。ここに選別が働きますから、参加している人の質は保たれます。そうじゃない人もいるでしょうけど、実際に報告活動をやっている人たちが中心になっているので、ただのROMは相手にされにくく、エア指導者もさほどは湧いてこない。
仮に考え方の違う人が迷いこんでもその考えを外に出せない。そこからはみ出そうとするのがいると、「スレチ(スレッド違い)と指摘され、「心の関東軍を抑えろ」と注意される。
「朝日新聞」の記事に対して批判的な意見が出るとすぐさま異論が出るように、ここでは遠慮がない。匿名掲示板が持つ機能なのだろうと思えます。
こうしてシングルイシューを徹底できる。
現にハンJ民が心の関東軍を抑えられなかったことがあるように、「抑制する意思がデフォルトになっている場合は」という限定つきです。
また、この方法がとれたのは、祭りのルールが安定しているってこともあります。参加者はひとたびルールを把握すれば、そう大きく変動はしない。敵が応戦してきて、作戦を変更しなければならない局面もまずない。
なにをするのかによって違ってきますが、「BAN祭り」ではベストの方法だったと言えます。
Twitterの利点とリスク
それに対してTwitterは伝播力があるので、多数の人を集める場合の呼びかけに適しています。集中的に敵を叩くにも向いてます。デマを流すのにも最適です(笑)。
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