唾液の出し過ぎに注意—風俗嬢と客がなりやすい病気(下)-[ビバノン循環湯 538] -(松沢呉一)

2019年09月13日 12時15分　
カテゴリ： STD・性病 • オーラルセックス • コンドーム • ソープランド • ビバノン循環湯 • ファッション・ヘルス • 医学・病気 • 性器
タグ : イソジン • 淋病

「経路不明の感染症に次々と感染—風俗嬢と客がなりやすい病気(中)」の続きです。

定期検査をしていない店の怖さ

ヘルスの控え室で暇しているコらとダベッていたら、その中の一人が「マンコが痛い」と言う。その場でパンツを脱いで、皆で診察したところ、陰唇の片側が紫色に腫れ、陰唇の形まで崩れてしまっているではないか。マンコを見るとすぐにナメたくなる私だが、このマンコは遠慮したい。

「セックスのやりすぎかなあ」

「違うと思うぞ。そんなことを言っている暇があったらさっさと病院に行けよ」

彼女はこのあと病院に行ったのだが、雑菌による炎症だったらしい。セックスのしすぎて粘膜にキズができ、そこから雑菌が入り込んだのか、セックスのしすぎで睡眠不足が続き抵抗力が落ちていたのかもしれない。

それから半年ほど経って、この店のコらとまた会っていたら、こんな話が出てきた。

「うちの女のコが喉が痛いというので、病院に行った方がいいと皆で言っていたのになかなか行かないんだよ。それで喉を見たら、白い斑点がいっぱいできている。それでむりやり病院に連れていったら、やっぱり淋病だったよ」

喉淋である。白い斑点は炎症だろう。イソジンでいくらうがいしたって治るはずがない。

「ホントまいるよねー」と皆は口を揃えるが、あまり深刻さはない。もうちょっと深刻になった方がいいと思うぞ。

「うちの店のコたちはたくさん感染していると思うよ。だって、あのコに感染させたお客さんはきっと今でもチンポから膿を出していて、他のコだってついてるかもしれないじゃん。あのコはずっと病院に行ってなかったから、その間についた客にも感染させていて、その客が他のコにつくしさ」

この店はゴムフェラでもいいことになっているのだが、たいていのコは生でしているみたい。生本番しているコもいそうだ。また、喉だったら、キスでも感染する。そこまで放置していたんだったら、口中は菌だらけだろう。店のコたちも客も大量に淋病に感染している可能性がある。

「私はあのコと3Pしたことないけど、××ちゃんは3Pをやったことがあるって言ってたよ。あのコと客がキスして、その客と××ちゃんがキスするから、次々と感染だよ、こえー」

恐いならなんとかしろって。

さすがに店は放置できず、このあと全員、病院で検査することになったのだが、定期検診をしていないと、こういう連鎖が起きてしまうのだ。

この店では一回しか遊んだことがないのが不幸中の幸いで、これ以降、とてもじゃないが遊ぶ気になれなくなった。検査を義務づけている店で遊んだ方がやっぱり安心である。

※vintage nude　着色しました

ストレスによる湿疹

しかし、防ぎようのない病気もある。

ある地方都市で会ったイメクラ嬢の体には、ブツブツと斑点がいっぱいできている。

「どうしたんだよ、ネコのノミか?」

「違いますよ。病院に行ったら、ストレスで内臓を壊して、そのせいだって言われた。これでもずいぶんよくなったんですよー」

このコは、ちょっと前までこの近くの店にいたのだが、この店がひどいのだ。

「風邪をひいても休ませてくれない。働いている途中で体調が悪くなっても、信じてくれない。その場で体温を計って、ようやく帰してくれるんですよー。生理の予定が早まって、突然始まることだってあるじゃないですか。“生理になったから帰らせてください”って言うと、従業員がパンツの中に手を入れて、血が出ているかどうか確かめるんですよー」

これはひどい。もはや人権侵害と言ってもよかろう。

たしかに厳しくしないと、ルーズなのが出てきて、店にも客にも他の女のコらにも迷惑をかけるわけだが、いくらなんでもこれはやりすぎだ。本当に生理かどうか知りたいんだったら、タンポンでもナプキンでも見ればよく、見ただけでは信じられないのなら、タンポンやナプキンのニオイを嗅ぐなり、なめてみればよいのだ。

これもどうかと思わないではないが、この店の従業員はパンツの中に手を入れたいだけと言われてもしょうがない。

つい最近まで、この地域では、この店と、この店の系列店しか店舗型のヘルスはなく、独占状態が続いていたたため、女のコらはストレスで内臓を壊しても我慢するしかなかったのである。

ところが、そのすぐ近くに新しく店がオープンし(全国でも珍しく、ここは今も新規で許可をとれる)、売れっ子たちは軒並みこちらに移籍し、彼女もこっちに移った。ざまあみろ、である。これでその店も労働環境を再考しなければならないことだろう。

健全な競争原理が働くためには、独占状態はよくない。もっと風俗店を。

※unknown artist「Mrs Bennett, Afflicted with a Skin Disease」

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