松沢呉一のビバノン・ライフ

キャバクラやヘルスは危険なのか?—新型肺炎(COVID-19)について触れにくい事情[1]-(松沢呉一)

※これを書いてから半年以上経って、数字がはっきり出ているので、「性風俗では思われているほどは感染リスクが高くない。なぜか」について、「Abema Primeの議論にならない議論を補足する—要友紀子の「性風俗ではクラスターが発生していない」発言」にまとめておきました。

 

 

「ビバノン」のアクセスが増えるくらいに不安が増大しつつある

 

vivanon_sentenceちょっと前にFacebookに書きましたが、このところ、「私はこうして性感染症に感染した-性病座談会」や「性感染症(STD)についての相談—セックスにくっついてくる厄介なもの」「経路不明の病気に次々と感染—風俗嬢と客がなりやすい病気」など、「感染症」「感染経路」といった言葉が出てくる記事へのアクセスが増えてます。どれも古い記事であり、ほとんどアクセスがなくなっていましたから、間違いなく、新型肺炎について検索して辿り着く人たちです。

Facebookでは、たんに「感染症」「感染経路」といった言葉で検索したかのように書いてましたが、それだけで「ビバノン」を見つけるのは不可能で、これらはセックスや風俗関連の言葉の組み合わせでの検索です。「セックスしたら新型肺炎に感染するんだろうか」「この時期、ヘルスには行かない方がいいんだろうか」と考える人たちです。

当然セックスすれば感染しやすいですし、ここまでの例でも、近い距離で会話するだけで感染してますから、キャバクラでも感染することは十分あり得ます。

街行く人々や電車の中でのマスク率をざっと見ているのですが、1月の段階では3割から4割だったのですが、現在は学生集団を除くと、半数あるいはそれ以上になっています。マスクをしたくても入手できないという人もいましょうから、「マスクをしたい率」はもっと高そうです。マスクの増産が追いつくでしょうから、今後は100パーセントに近い香港並になっていきそうです。

マスクをしている人たちがキャバクラやヘルスに行くとは思えず、確実に客足は落ちているでしょう。中にはマスクをしたまま遊びに行く人たちもいるでしょうが、接客する側はそうもいかず、日刊スポーツの記事にあるように、しばらく休んで様子を見るのが出てきているはずです。2月ということもあって、どうせ店は暇ですから。

※2020年2月7日付「日刊スポーツ」より

 

 

SMがもっとも安全かもしれない皮肉

 

vivanon_sentenceこのまま国内感染が増え続けると、さらに不安が増大して、店舗を所有しているのが多いソープランドはまだしもとして、店舗を借りているヘルス、おっパブ、キャバクラは続々潰れることになりそうです。

その点、女王様は比較的安全。女王様は黒いマスクをしてもそれっぽいし、使い捨てのラテックス手袋は今までも使ってますから、手袋をして客の頭にビニール袋をかぶせて、遠くから長い鞭で叩いていればいい。「おまえみたいな黴菌に触れらるか」と放置するのもあり。客は全頭マスク持参が好ましい。しばらく黄金プレイなど濃厚なプレイは控えたい。

2メートル以内で対面の会話をするだけでも感染の可能性があるということなので、SMクラブよりキャバクラの方が危険だし、居酒屋だって危険。酒を飲んだり、焼き鳥を食べたりする時はマスクをはずしますし、酔うと自制心をなくしてキスしたり、セックスしたりします。

金銭を媒介にしなくても、デートは危険ですから、厚労省やNHKは「当面の間、デートやセックスは控えて、オナニーに留めましょう」と呼びかけた方がいいのに、それをしないから、「ビバノン」にアクセスする人が出てきてしまうわけです。

感染が怖い人たちは皆で銭湯に行って仕事の疲れを癒したり、商談をするといいと思うな。危険そうに見えながら、銭湯は案外安全です。浴槽では多くの場合、揃って壁に背中を向けて入りますから、対面で会話をすることは避けられます。脱衣場でも服を着ながら、あるいは脱ぎながらの会話なので、対面にはならない。なにしろ風呂ですから、少しはソープランドに来たような錯覚も味わえます。

お湯を媒介にして感染することはなさそうですが、感染したらごめんよ。

山手線を使ったスクウェア・エニックスの宝探しも中止

 

 

なぜ新型肺炎についてここまで触れてないのか

 

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新型コロナウイルスによる肺炎はWHOがCOVID-19と命名し、名前をつけられるとウイルスとしても、もうひと頑張りしたくなりますわね。

と私がこれについて触れると、どうせ次から次と非科学的なことを言うに決まってますから、ここまで軽くFacebookで触れることはあっても、「ビバノン」では触れてませんでした。

なのに、こんなところまでアクセスしていただいて申しわけない。淋病やクラミジアの話を読んでお帰りいただいてもいいのですが、せっかくここまで来ているのですから、新型肺炎についても読めるものを出しておくかと思い立った次第。

しかし、ストレートな内容ではなく、以降は「なぜ私が新型肺炎について触れることをためらうのか」についての話が続きます(COVID-19にはまだ馴染めてないので、「新型肺炎」で統一します)。

 

 

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