松沢呉一のビバノン・ライフ

メルケル独首相の演説の背後にあった若者たちの不服従—過激派から穏健派まで各種コロナパーティ-(松沢呉一)

 

メルケル首相のテレビ演説で繰り返された「民主主義」

 

vivanon_sentenceCOVID~19にについて、私にはわからんことがいっぱいあります。

ウイルス自体もわからんし、ここまで見てきたように「人権とのかねあい」「民主主義とのかねあい」「経済とのかねあい」で、どう考えていいのか判断がつきかねることがあります。

ドイツのメルケル首相がテレビ演説で、何度も民主主義という言葉を出してました。

外出の制限、移動の制限、営業の制限、集会の制限は、それぞれ民主主義国家にとっては好ましいことではないことを前提に、「それでもそうせざるを得ない場合があり、まさに今がそうなのだ、だから協力して欲しい」ということです。

この筋道をちゃんと見せているのはさすがです。中国とは違う。日本とも違う。ナチスを経験しているドイツです。

しかし、わざわざこんな演説をするくらいで、ドイツの規制はすさまじくて、中国、イタリアなみ。検査を拡大しているため、感染者数は増えていますが、死者数は少なく、イタリアほどひどい状態ではないのに、学校は閉鎖、テイクアウト以外の飲食店は営業中止、マッサージ店や美容院も営業中止、家族は除外として、3人以上が集まることは禁止。3Pできないじゃん。

 

 

コロナパーティに集まる若者たち

 

vivanon_sentenceあの演説は3月18日に放送され、それから時を置かず、以下の報道がなされて、いよいよ「ナチスを経験しているドイツはさすがだ」と思いました。

 

 

ドイツ各地で「コロナパーティー」 若者ら、自粛要請従わず

2020年03月20日21時38分

【ベルリン時事】新型コロナウイルス対策で不要不急な人との接触の自粛が求められているドイツで、大勢の若者が屋外でパーティーなどを開く事態が続出している。学校が休みな上、若者は重症化しにくく危機感が薄いとみられるが、当局はこうした「コロナパーティー」が感染を拡大させると警告している。

ドイツは一部州で外出制限の導入が決まったが、イタリアやフランスのように全国対象にはなっていない。ブラウン独首相府長官は20日のシュピーゲル誌(電子版)のインタビューで、「土曜日(21日)が決定的に重要だ」と述べ、国民の行動次第では全国的な措置もあり得ると示唆した。

ベルリン中心部パンコウの公園では16日、休校開始に合わせ学生ら数百人が集まったが、通報を受けた警察が駆け付けて解散させた。南部バイエルン州でも今週、数十人~100人が、大音量の音楽をかけて公園に集まる事態が複数報告された。

感染症対策を担う政府機関、ロベルト・コッホ研究所のシャーデ副所長は16日の記者会見で、クラブなどが閉鎖されたため、こうしたパーティーが屋外で行われるとした上で「どうかやめて、可能な限り家にいてほしい」と呼び掛けた。

 

——2020年03月20日付「時事ドットコム」より

 

 

これを読むと、メルケルの演説は業を煮やしたものだとわかりますし、メルケルはクラブ閉鎖にまで触れているので、彼らに向ってお願いをしているのです。

3人以上集まることが禁止とされたのは演説のあとなので、要請レベルでは従わないのが多過ぎるための措置だったのだとわかります。

結果、不服従の若者らは、自分らの首を絞めていて、バカであるのは事実として、ナチスへの反抗は音楽を愛する若者たち不良たちによってなされたことを彷彿とさせます。

 

 

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