水商売や性風俗店はもちろん飲食店も感応の場—緊急事態宣言に抗する[3]-(松沢呉一)
「高嶋政宏に学んで個人で判断して個人で行動する—緊急事態宣言に抗する[2]」の続きです。
ファミレスは大量閉店
「開店閉店.com」で食い物屋の数字を軽くチェックしてみたのですが、パンデミックの影響が顕著に出ているのはファミレスです。
以下は年末に閉店した店。
「開店閉店.com」
連日のように閉店しています。
一昨年の閉店数は53軒なのに対して、昨年は217軒。12月については一昨年が1軒なのに対して、昨年は46軒。一昨年の1年分に近い。年末決算の会社は区切りですから。
ファミレスは敷地が広いし、路面店が多く、入口や窓を開けておけば換気は十分できましょう。多くはボックスシートですから、同じボックス内で感染することはあっても、それ以外に広がるリスクはないと思うのですが、そもそも複数で行くことを前提にした場所です。複数での行動を避けると、客が減る。
団体行動の店は消えていく
その上、チェーン店だと、客は「店を守りたい」「応援したい」という意識になりにくい。
大きなチェーン店の場合は、業種替えや繁華街からの移転のための閉店もあるために数字が膨らんでいて、他の飲食店ジャンルでは前年とはっきりとした差が生じているものは見当たりませんでした。いくつか見ただけですから、まだ他にもあるとは思うのですが、この点は意外でした。
これは「開店閉店.com」が情報のすべてを拾えているわけではないことによりましょう。
チェーン店なら店のサイトで告知が出ますし(小さくだったり、店とは別の本社のサイトだったりしますが)、店頭でも事前にお知らせが出ますが、小さな個人営業の店では、店頭に休業告知が出て、いつのまにか店が消えていたりします。中には一切の告知なく夜逃げみたいに消える店もありますから。情報を拾えない。
私が歩き回っている範囲でも、前回の緊急事態宣言の前から休業に入って、いまなお休業しているこぢんまりとしたレストランがあります。おそらく建物全体のオーナーなのだと思います。休業しても食っていける店は強いですが、あのまま閉店しても誰もわからんです。
しかし、常連は店を応援してくれますので、再開すれば来てくれて、小さな店ほど案外強いという側面もあるかもしれない。
※この貼紙には閉店とは書いてないですが、12月30日から休業。一人焼肉の店なので、単独行動の店なのに。ここは吉野家系列ですから、チェーン店によくあるように、郊外に移転することを前提とした場所探しの休業か。あるいは吉野家は関連会社の整理を進めているので、その関係か(これについては下記参照)。
飲食店も感応の場
「新年早々借金と自殺未遂の話—2021年の抱負(なんて立派なものはもうないけれど)[6]」に出てきた極端な例も「風俗嬢やホステスは感応を与える仕事であるとともに、自身も感応を与えられる仕事である」ってことをよく見せてくれます。水商売や性風俗は重要な仕事であり、働く側にとっても、ただの収入源に留まらず、欠くべからざる存在なのです。
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